第24章 かぼちゃ
「時間、大丈夫?」
『あ、うん。あともうちょっとだね』
上体を起こしながら会話を戻してく。普通なものに。
このまま、あんな風に隣で寝そべって恥じらうようにされてたら、
また身体が勝手に動いてしまいかねない。
「…何でいきなりアルプス一万尺を?」
『あっ あーほんとに楽しかったね。アルプス一万尺』
「うん、いっぱい笑ったね」
『タヒチでね、子供たちとか同世代の子達とかとね、手遊びして遊んでて。
現地の子もだし、サーフィン関連の子とかツーリストとか自然に集まって。
アルプス一万尺も思い出したんだけど、結局やらずじまいで。
それを思い出したら、やりたくて仕方なくなった。ごめん、どうしようもない動機で』
「…いや、そんなことないよ。どうしようもなくなんかない。
タヒチでの風景や穂波ちゃんの表情が思い浮かんですごくいい」
『…そんなこと言ってくれてありがとう。また、しようね。笑』
「あぁ、うん。またしよう」
それからもうしばらく話をして、
穂波ちゃんは朝食の準備へと向かっていった。
俺は、そのままそこに残って本を読む。
空にも目をやりながら。
穂波ちゃんとの時間はいつだって、とても豊かだ。
それが、わかれた後も持続するのがすごいな、と思う。