第24章 かぼちゃ
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銭湯までの道を蛍くんと歩く。
蛍くんの隣は研磨くんとはまた違うんだけど、すごく落ち着く。
あ。
『蛍くん、質問が浮かびました』
「…あぁ、まだやるんだね。 どうぞ」
『蛍くんは沢山の女の子に好かれますか?』
「…クスッ 笑 なにその言い回した感じ」
『…いやなんというか、軽い感じになるのもなぁとか思って』
「…別に、どうでもいいから、あんま気にしない」
『…?』
「まぁ、靴箱に何か入ってたりとか、待ち伏せとか呼び出しとか…あるけど」
『…どひゃあ』
絵に描いたようなおモテっぷりで。
まぁ、容姿だけでも多くの女子を虜にするよねぇ…
きっと蛍くんは東京にいてもそうだと思う。
それがここより人の少ない宮城にいたら。うんうん。
「蔑ろにするつもりはないけど、だからって大切にしようとも思わないかな」
『…想ってくれる気持ちを?』
「まぁ、そうだね。そんなとこ」
『きっとそれが蛍くんの優しさだね。…わたしにはできてないこと』
「…あぁまぁ、そうだけど。できちゃったら今僕、こんな風にしてられないわけだし」
『………』
「だから、それで僕はありがたいけど。 …うしろ、車きます」
蛍くんは道の道路側を歩いてくれてたけど
わたしが蛍くんの前に出て後ろ歩きしながら話していたので、そう教えてくれた。
蛍くんの横に戻るか戻らないかのとこで、手を取られる。
「手、繋ぎましょっか」
『…えっ』
応える間もなく指が絡まり、しっかり繋いで歩き出す。
「…いや?」
『…いやじゃないけど』
「じゃ、無理矢理じゃないね」
『…無理矢理じゃないけど』
「穂波さんすぐふらふら歩き出すから、
なんか今日車や自転車結構通るし銭湯までこうして行きましょう」
『…ん』
それなら遊児やお兄ちゃんと繋ぐ感じだ。うん。
どきどきする必要はない。
あ、でも遊児には前どきどきしたしなぁ…
「ドキドキはしていいんですよ」
『 ! 』
「…それが募っていつの間にか好きに変わってたらこっちのもんです」
『………』
一度のせられると転がされっぱなしになりそうな、蛍くんの手のひら。
…すでに片足かかっちゃってるような気がしてくる。