第24章 かぼちゃ
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烏野の部屋を覗くとみんなまだわいわいしてる。
蛍くんは…あれ、寝てる?
バス移動のあとで練習、自主練…疲れたよねぇ。
「あ、穂波ちゃん。どうした?」
『あ、力くん。お疲れさまです。蛍くんと銭湯まで一緒に行く約束したんだけど…』
「けいくん……… あ、月島?」
『うん。 寝てるね。 でも、汗流さないで寝てたい感じでもないよね』
「だろうね。起こすよ」
『…あっ もしっ』
「…?」
『もしわたしが入ってもいいのなら、ちょっと寝顔拝見したい』
「あぁ 笑 入っていいと思うけど」
『いいかな?じゃあちょっと失礼します』
力くんって、名前の通りの感じ。
こんな人と両思いになれたら、
その先にはもう必ずや幸せが待っているだろうって感じがする人。
そりゃ、みんなそうだろうけど…でも力くんってそんな感じだ。
蛍くんのそばに行くと山口くんが小さな声で話しかけてきてくれる。
「穂波ちゃん、お土産ありがとう」
『いえいえ、とんでもない』
「ツッキー寝ちゃった。珍しい」
『寝顔も綺麗だねぇ… お人形さんみたい』
「………」
『…って見惚れてる場合じゃない。早く銭湯へ行かないとね。明日もあるし』
「………」
『けーいくんっ』
さすが蛍くん、一度呼びかけただけでぱちっと目を開けた。
研磨くんやわたしにはありえないこと。
廊下で待ってると伝えると、小さな声でここにいて。と言われた。
…はぁ、反則。
そしてきっとその声は山口くんだけには聞こえていて、
山口くんははっとした可愛い表情をしながらも、
周りに異変を悟られないように静かにしようとしてるようだった。
…かわいい。
蛍くんは蛍くんで山口くんには聞こえることは分かっていただろうし、
聞こえてどんな反応するかきっとお見通しなんだと思う。
それでいて、こうやってスルーしてる。
垣間見える2人の関係性がたまらなく愛おしい。