第24章 かぼちゃ
『うん。これがわたしのする豆腐の水切りです』
「何になるの?」
『さて、何になるのでしょうか?なぜ水を切りたいのでしょう』
「何それ、からかってるの?」
『ううん、蛍くん賢いからどんな食べ物想像するのかなぁって。
料理って当たり前にするし食べるけど、いろいろ繋がってて面白いよね』
「………。 水を切るのは、加熱するから?油を使って」
『すごーい。油揚げも炒り豆腐も豆腐チャンプルーも水切りしてやるよ』
「………」
『でも、明日の朝はそっちじゃないんだなぁ』
「…そっちじゃない?」
『油を使うからじゃない』
「…え、わかんないんだけど。 …あ、味が薄まらないように?
でも何作る時にそんなの必要?」
『…ふふ。ちゃんと考えてくれてありがとう。蛍くん、やっぱ優しいしかわいい』
「…優しいはまだしもかわいいはやめてくれない、身長190手前の男だよ、僕」
『…ふふ、そういうとこもとびきり。かわいいってさ、別に、
子供みたいにかわいいとか、女の子みたいにかわいいだけじゃないんだよ。
英語でもよく使うよ。セクシーでこう、くすぐる感じの時はcuteがしっくりくる』
「………まぁ、いいや」
『うん。いいのいいの。よし、じゃあお疲れさま!解散!』
「いや、解散しなくていいでしょ。一緒に銭湯行くよ」
『えっでも…』
「なに、言わせたいの? さっきも言わなかったっけ?」
『…?』
「少しでもそばにいたいだけだから。いやじゃないならいさせてよ」
『あっ…』
そういえば、そんなことを言ってた。
あぁ、顔が熱くなっていく。
「…じゃ、行きますか」
『うん…』
蛍くんってほんと、想像を超えてまっすぐだ。
真っ直ぐにひとを好きになって、真っ直ぐに表現して、
それできっと、傷付いたり…したのかもしれない。
それでもやっぱり根っこには真っ直ぐなのが残ってて、こんな風に表現してくれる。
ショートケーキも恐竜も好きなままでいる。
知れば知るほど魅力的な子。