第24章 かぼちゃ
「you’re what you eat…」
『お、蛍くん発音綺麗そうだね』
「そんなことないってか、今のじゃわかんないデショ。
けど…カタカナっぽく喋るのはイマイチだなと思う」
『へぇ… 蛍くんはおもしろい子』
「はっ!?」
『蛍くんの綺麗な英語好きだな。蛍くんが英語を喋るとまるでお人形さんみたい。
恥ずかしいのか、わざとカタカナ発音しちゃってそのまま癖になる人も多いよね。
聞いたままを言ってみればいいんだけど。でも、わたしはそういう訛りもすき』
「訛り?」
『フランス訛りの英語を聞くと胸のキュンが止まらないの』
「………」
『もしかして誰かにとって、日本語訛りもわたしにとってのフランス訛りなのかもなとか思う』
「…で、食べたものでできてるって意味でいいの?」
『うん、そんな感じ。 …ではお次。 蛍くんの一番好きな恐竜は…』
「………」
『アーケロンです!』
「…ぶっ 笑」
『…違ったか』
「なんでそんな変化球投げてきたの。アーケロンは亀だし、恐竜じゃない」
『あ、そっかぁ』
「どうせ穂波さんがアーケロン好きなんでしょ?
こんな大きな海亀がいたなんてわくわくする!きゅんきゅんする! …みたいな?」
『…あぁ、概ね言う通りです」
「やっぱりね。 …じゃあもう一回チャンスあげるよ」
『お。…じゃあね、うーん。 トリケラトプス』
「ざんねーん、ティラノサウルスです」
『わー!こっちも超王道だった。 蛍くんってやっぱずるいくらいかわいいね』
「はい?」
『斜め上からきそうなところを、ものすごくまっすぐくるみたいな。蛍くんの魅力の一つだね。
好きって気持ちもまっすぐ伝えてくれるし…』
「それじゃあ僕と付き合ってみる?」
『それができたらどんなにいいか。でもそうするわけないはいかないの』
「はい?」
冗談を本気にして、本気を冗談だと捉えたりする。この人は。
『蛍くんのことほんとに好き。だけど、けんまく…』
「今、その話はしなくていいから。冗談で聞いただけだし」
『あ、そっかぁ… 冗談かぁ…』
「…笑 ちょっと、そのまま喋らないでくれる?」
言葉を遮るためにまたも鼻を摘んだけど、
抵抗することもなく間抜けな面のまま鼻声で喋りつづける。