第24章 かぼちゃ
ー月島sideー
穂波さんと向かい合ってかぼちゃを切ってる。
普通なら風呂入ってすぐ寝るんだけど。
「…これ結構大変だね」
『この量はね、あんますることないよね。…ふふ』
「………」
『蛍くん、社会人チームとも練習始めたんだもんね。
なんか、何が違うのかはわたしにはわからないけど何か違う気がしたよ』
「…いや、まだまだ」
『なんだったけなぁ… 牛… 牛島さん?っていう人がいるって聞いた』
「………」
『対戦することになるかな。 あー、なんだか宮城へも試合見に行きたくなっちゃうね』
「…もし、決勝まで残れば土曜日だけど。 …土曜は用事あるもんね」
『そっか。土曜日なのか。 …一応、日にちまたメールして!覚えておきたい』
「あぁ、うん。 あ、11月のライブは18日。…ってこれもメールしとく」
『うん、そうしてくれるとありがたい』
試合を見にきて欲しいわけじゃないけど、
会えるのは普通に嬉しい。
もし、来たらだけど。
合宿で練習してるとこは見られてるのもあって、
試合にくるのも抵抗ない、かな。
『蛍くん、ありがとう。手、痛くなってない?
もう大丈夫だからいつでも帰っていいよ』
「…馬鹿なの? 僕が手伝うためだけにここにいると思ってるわけ?」
『…お風呂とかまだでしょ?』
「それはキミもでしょ。一緒に行けばいい。
一泊しか東京いれないんだから、少しくらい長くそばにいさせてヨ」
『なっ 蛍くん饒舌になるとこ間違ってませんか…』
耳まで赤らめてもじもじしてる。
…ほんとこれかわいいな。
もじもじしながらも手は動かしていて、
煮物にするために種とワタを取り除いてカットしていってる。
『あ、じゃあお茶入れるから椅子出して座ってて?』
「…あ、うん。じゃあそうする」
調理をしてると気を取り戻すのも早いのかも。
手際良く淡々と、でも丁寧に手や足を動かし続ける。
『はい、蛍くん。お茶どうぞ』
「どーも。いただきます」
香ばしい香りのするお茶。
熱すぎずちょうどいい温度ですぐに啜れる。