第24章 かぼちゃ
「…ぼーっとしてて大丈夫なの?」
蛍くんの言葉にはっとして頭を少し後ろに引く。
頭を多少引いたところで、距離は全然近くって。
だんだん状況を理解してきて落ち着くどころがどきどきが増す。
カランッ…
手にしていた包丁がまな板の上に落ち着かず、床に落ちた音がする。
蛍くんの胸に両手を当ててぐっと押すけど全然動かない。
細いように見えて、みんなやっぱりしっかりした身体をしてる。
「…カズくんって誰? キスされたって本当?」
『…へ? あーっと…』
「僕以外の人とキスするのムカつく。 …孤爪さんは仕方ないけど」
『あっ…ごめんね。 ごめん …ん?これって謝るとこ?』
「…で、誰?」
『カズくんは、前に話したスケボーが上手な男の子』
「…小学生の?」
『うん、10歳なんだけどすごく大人っぽくってかっこいいの』
「…へぇ、なんだ。それならちょっと、耐えれるかも。 …でも、かっこいいんだ?」
『うん、いっぱいどきどきさせられる』
「へぇ… 僕といるときは?今は、どきどきしてる?」
『へっ もう すっごいどきどきしてたよ。今、普通にお話ししてたら落ち着いてきた』
「…はぁ、なんていうか。チョロすぎる」
『あっでも、カズくんはほっぺ。…でも十分どきどきした』
「ふーん …まぁ、いいや。かぼちゃ切るの、手伝おうか?」
『えっ ほんとに!?』
「………」
なかなかの格闘をしていたので、
正直とっても助かる。
わーい
「包丁落としたでしょ」
『あっ、そうなの。刃、大丈夫かな。悪いことしちゃった。でも、怪我がなくてよかった』
「で、どうするの?」
『えっと、上も下もへたを切り取るんだけどそれはね、終わったとこで。
先を刺すみたいにして、こうね、くいってするんだけど… ここまで行って抜けなくなることがあるの』
「…で、今も抜けなくなったわけ?」
『…うん』
「どうやって抜くの?」
『菜箸をさして抜いてる』
「…へぇ。…てかこれ切って終わりじゃないんでしょ? 早くしなきゃね」
『うん、煮るとこまでやっちゃう』
「………」
蛍くんはまな板と包丁をもうワンセット用意して、
向かいでカボチャを切ってくれる。