第24章 かぼちゃ
ー穂波sideー
レッスンから戻って、
ほとんど片付いていたしみんなにはお風呂に行ってもらった。
マネの部屋には箱入りのおやつ2種類と、
タヒチのマーケットで買った花の刺繍のついた巾着に小分けした個々のお土産を置いておいた。
女の子へのお土産を選ぶのは困るほどに楽しい。
小さな石鹸や、クレイパック、ハンカチ、いろいろ詰め込んだ。
喜んでもらえるといいなぁ。
箱入りのおやつは各学校部屋に置かせてもらった。
監督とコーチの部屋はさすがに鍵がかかってたのでドアの前に椅子を置いてそこに置いておいた。
こちらには甘いのとおつまみと。
お母さんが買ってたご当地ビールでも置いておきたいくらいだけど、
それってどうなの?ってちょっと悩んで持ってこなかった。
自主練できるスペースも限られてるし、
自主練を終えるタイミングも様々でお皿がどっと帰ってくることももうない。
大小さまざまなかわいいかぼちゃを山本くんのおじいさんに頂いた。
最初半分に切るのって家で一個やるだけでも決死の覚悟だけど……
よし!美味しくいただくため!
気合を入れて、頭の中でハチマキ巻いてたすき掛けして。
いざ包丁を入刀!
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・
「ぷっ…… ふはは………」
かぼちゃと格闘していたら、
ドアの方から笑い声が聞こえて振り向くと蛍くんがいた。
「すっごい真剣な顔してかぼちゃと対峙してる 笑」
『蛍くん… あ、蛍くんが最後だって、そうだ、かおりさんが言ってた』
「あ、うん。僕で最後。机は拭いておいた。 ごちそうさま。美味しかったです」
『ほんと?よかった。嬉しい。ありがとう。机も拭いてくれてありがとう。
…お皿そこに置いておいていいよ。自主練お疲れさま!』
「………」
蛍くんは流しにお皿を置いて、わたしの方に歩いてくる。
頭のてっぺんでお団子にしてるけど、
少し垂れてきた後毛を蛍くんは手に取って、そっと耳にかける。
どきっとした。
「台所にいるとまた、かわいいですね」
『へっ ななな何をっ』
突拍子もなく言葉を投げたかと思えば、
蛍くんは腰をかがめ、顔を傾けながら近づいてくる。
………。