第5章 夏
ー穂波sideー
おばあちゃんの家に来て三日目。
今日は賑やかなのが合流する日。
「おーい穂波ーーー!」
『あ、遊児。来たぁー』
照島遊児。
わたしの従兄弟。
「何かして遊ぼーぜっ」
『…うん、何しようねぇ?』
「…穂波何かエッチになったね」
『………』
「じゃあデート行こうぜ」
遊児はやんちゃで軽くて昔から子供みたいだけど、
誰かを無駄に傷つけたりはしない男らしさもあるいい子。
遊ぶ事しか考えていないような感じなので、
一緒に居て呆れることはあっても飽きない。
『ん。じゃあ、とっておきのデートをお願いしようかな』
「決まりぃ!」
『用意する。10分だけ頂戴?』
「…やっぱ穂波エッチになってる」
『遊児、デート。おばちゃん達に伝えてきてくれない?』
「うぃっす」
鞄と帽子と水筒を持って出る。
玄関の外で遊児が待っていた。
『お待たせ』
「よーし!しゅっぱーーーつ!」
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デートとは名ばかりで
ここは海と山の田舎だし、
プラプラと森林浴をしながら散歩をしている。
小さな頃から、夏休みやお正月などおばあちゃんの家に来ると
毎日一緒に遊んでいた仲なので、一緒にいてラクというか、
関係性が出来上がっていて、何も考えずにいられる。
遊児は、ほんとに名は体を表すというか…
散歩をしてるだけ、とは言い切れない。
しょっちゅうジャンプしてるし、
そこそんな風にわたらなくていいんじゃない?ってとこをアクロバティックに飛び越えたり、
一緒にいてラクだけど、落ち着くというわけでは、ない。
夏によく遊びにきていた、
山の中にある小川に到着した。
『お弁当、持ってくればよかった』
「マジだー!なんかもうおれ腹減ってきたかも」
『…ドライバナナとナッツならあるよ、食べる?』
「食う食う!ハワイの?あれ、お土産まだもらってねーじゃん」
『ん、ハワイの。お土産は後で渡すね』
ぴょんぴょんと向こう岸から石を飛んでこちらに来る。
「あっちで座って食お」
『ん』
「ほれ」
さも当たり前かのように遊児は手を差し出してくる