第23章 high
ー研磨sideー
8月23日(木)
昨日の夜、穂波はタヒチから帰ってきたはず。
アキくんはベスト4いりしたって言ってた。
今のところ、常にベスト8には入っててベスト4以上も多いから
10本の指どころじゃないんじゃないかな、とか考える。
今日も一日練習を終えてクロと帰る。
穂波からは、今朝、【ただいま♡】というメールが入ってた。
翔陽たちはもう夏休み終わってるらしく、
バレーする時間が減ったから云々…と翔陽から長いメールが来る。
明後日から一泊二日の合宿。
合宿は好きじゃないけど、疲れるし。
…でも、翔陽をみれるのも楽しみだし、穂波のご飯を食べれるのも嬉しい。
「え」
「…ん?どうした?」
クロとわかれて自分ん家に顔を向けると
玄関の前で穂波がうずくまって寝てる。
スケボーを縦に抱えて、頭を乗せて。
「………」
「ほんと、よく寝ること。じゃあなー研磨」
「あ、うん。おつかれ」
おれのこと待ってたの?
それしかないよね。かわいすぎる。
しゃがんで、穂波の寝顔を覗き込む。
タヒチでまた日に焼けてきた。
綺麗な小麦色。美味しそうな色。
髪の色も少し抜けて明るくなった。潮焼けってやつ?
髪をそっと耳にかけ、頬に口付ける。
首筋や額に汗がつたう
「穂波、起きて」
『…ん …あ、研磨くん』
目が開いた。
『おかえり、研磨くん』
花が咲いた。 みたいな笑顔。
「…ん。ただいま。 穂波もおかえり」
『んーただいまぁ』
ぎゅうと首に腕を絡めて抱きついてくる。
頭をぽんぽんってする。
あー、かわいい。
何度だって思う。
それから、何度だって言いたい。
ただいま、と おかえり。
行ってきますと行ってらっしゃいもいいけど、
帰ってくる場所がお互いのいるところって、やっぱ特別だ。