第23章 high
ー穂波sideー
電話をした日のこちらでは夜。
日本では夕方ごろかな、蛍くんから【2試合とも勝ったよ】と連絡が入ってた。
気付いたのはその翌日の朝、日本では深夜なので返事はお昼にした。
ややこしいけど、こっちでのお昼はあちらの朝。
【おめでとう!そしてお疲れさま!】
送ってすぐに既読がついたかと思うと着信がはいる。
『はーい』
「もしもし、穂波さん。今日もビーチ?」
『今日はね、レイデイって言って、波があまりよくないからお休み的な』
「へぇ、予定は?」
『朝、他のビーチでサーフィンしてきた。今、1人でカフェでお昼ご飯。このあとはスケボーかなぁ』
「1人で?」
『地元の子たちと仲良くなった。
言葉が半分くらいしか通じないから、楽しい』
「通じないから楽しい?」
『ある程度英語が喋れるようになるとね、
英語が喋ればいいってもんじゃないのよって環境に身を置くと痺れるの。
うぅー 気持ちいいーってなる。いた気持ちいいというか』
「へぇ、やっぱM」
『…なんとでも言って!笑 代表決定戦はまだ先なんだよね?』
「うん、10月」
…遊児はそれに出るってことかなぁ?
でもなんか、言わなくっていいかなぁと烏野のみんなにも遊児にも言ってない。
それから蛍くんはぽつぽつと試合の話をしてくれた。
身長が2mある選手が相手チームにいたこと、
お兄さんの所属するチームでの練習に誘われたこと、
東北なので夏休みがあと1週間くらいで終わること。
それから音楽の話になった。
いつもヘッドホンで聴いているいろいろ。好きなジャンル。
蛍くんは歌があって当たり前じゃないバンドが好きだと。
多少は歌があってもいいんだけど。って。
『インストバンドとかジャムバンドとかっていうのかな?』
「うん、そうだね」
『スペアザ…』
「special othersって…」
「うわ、気持ちわる」
『もー蛍くん辛辣。笑』
「それも魅力なんでしょ? 今、スペアザって言った?」
『うん。蛍くんも言ったよね。好き?』
「うん、好き」
『わー、一緒だね。…ふふ』
「11月に仙台でライブあるんだけど。週末だけ来るとか、無理だよね」
『へっ…』
わたし?