第23章 high
ー研磨sideー
穂波が海外にいるときは今までSkypeか電話かメールだったけど。
今はどれもLINEでできる。
タヒチに行ってからもそんなにマメにではないけど、
写真が送られてきたりして、連絡を取り合ってる。
といっても、穂波の写真は相変わらず一枚もない。
仲良くなった子供たち、その子の家でご馳走になったごはん。
白い砂浜とカニ。…そんな感じだ。
でもなんかそれが妙に穂波らしくってすごく好き。
多分、空の色だとかそういうものに
本当に心を奪われているとき穂波はカメラを構えないし、
だからと言って、撮ってる写真がやっつけというかありきたりな観光地ってわけでもなくて。
穂波の日々を彩ってる色の一部というか。
とにかく、写真には撮る人の心が映るんだな、と思う。
特に好きだな、と思ったのは、子供たちと砂浜で遊んでる時の写真。
浜の砂で立体的ないろいろ作って遊んだらしいんだけど、
その中で、一人の子が魚を作ってる写真を送ってきた。
きっとおれや多くの人が魚を作ろうとしたら平面というか、
横から見た図をつい、作っちゃうんじゃないかなって思う。
売られてる状態というか、絵に描いたような状態というか。
でもその子は本当に立体的な魚を作ってた。
日々、海に潜って魚と一緒に泳いでいるんだな、というのが一眼でわかるもの。
穂波もそれに興奮したようで、あとから電話ですごく嬉しそうに話してた。
あと1週間くらいで帰ってくるな、という頃に葉書が届いた。
抽象的な絵がプリントされてるポストカードだった。
綺麗な青とわざわざ塗り重ねられた白。油絵っぽい。
【研磨くん、やっほー。
綺麗な葉書を見つけたのでペンを取っています。
研磨くんに出会ってから、行く場所行く場所で、研磨くんと来れたらいいな。
研磨くんとみたいな。隣に研磨くんが居たらな。って思います。
そうして一緒に行きたい場所、やりたいことが増えていきます。
やっぱりわたしは欲張りなようです。
そのくせ、一緒にいると一緒にいれるだけでいい。とごろごろしたくなる、
途方もないだらけた欲張りだな、と思いました。
いつもいつも大好きです。マタネ!
P.S. お兄ちゃんは順調に勝ち進んでいます。 xxx 穂波】