第23章 high

『卒業後のビジョンの話も、すっごく痺れた。鉄くんはかっこいい』

「………」

『ねぇ、鉄くん』

「…ん？」

『鉄くんが髪下ろしたとき、すごく色っぽかった。いつもの髪の毛も素敵だけど。
一緒に海にいったら、鉄くんは入水後あの鉄くんになるのかぁって思った』

「………なぁ、今度俺ん家にもおいでよ」

『…ん？あ、うん！研磨くんとまた遊びにいくね』

「デスヨネー」

『鉄くんいま、電話持って話してる？』

「おぉ、穂波ちゃんの声が耳元で聞こえるのいいな」

『あぁ、うん。それはわかるかも』

「………」

『…なんだけど今からちょっと置くね。身体伸ばしながらお話しする。
だから鉄くんも好きにしてね』

「はーい。　…つーかさ、こう、
あれ俺この子のこと好きなのか？みたいな錯覚が度々起きるのって、どうなんかね」

『…あー………ちょっとそれはわたしにもわかんない』

「…そういうのあるわけ？」

『んー、あるけどない。正直みんな好き。
潔子さんとか。キスできる、誘われたらそれ以上も絶対できる』

「………」

『でも、わたしには研磨くんの存在があるから、好きは好きでも違いはここかぁみたいな。
そういうのある。でもそうじゃなかったらわかりにくいのかなぁって』

「なるほど。つーか潔子ちゃんとの例えは反則だな。以後持ち出し禁止」

『…そうだね、よくなかった』

「じゃあ、そういうときはどうすんの？　例えば研磨に出会う前に俺に出会ってたら？」

『あぁ！ほんとわからないよね。
そのあと研磨くんに出会っても、今鉄くんに抱いてる好きを抱くのか、
どんどん惹かれていってしまうのか。でもきっと、後者だと思う。わたしと研磨くんは運命だから』

「…はいはい。聞いた俺が馬鹿でした〜　つか運命って。　リエーフかよ」

『ふふ。でもそう思ったの。今日もすごかったし』

「…ん？　なにが？」

『…なんでもないけど』

「熱出しながらヤッたのか、研磨」

『………』

「つかそれが運命って、そんな身体合うんだ？」

『あ、いや、それだけじゃないけど、そこまで合っちゃうからというか…』

「…笑」

『………』

「あーおもしろ。つーか研磨が発熱中にそんなことするなんて、ほんとすげーおもしろい。
確かに君たちは運命かもな、と思うわ」