第2章 始まり
トイレから出て、廊下を歩いていると急に気分が悪くなった。
食堂に戻らず、その場に蹲った。
頭も痛いかも……。
このまま部屋に行って休みたいけど、部屋の行き方が分からない。
今のところ話しやすいウィラさんに聞きたいけど、歩いて行けそうにない。
頭の痛みが治まれば、聞こう。と思って、まだその場に蹲る。
何分経ったのか分からないけど、誰かに声をかけられた。
「おい、大丈夫か?」
顔をあげると、さっきあったアンドルーさんだった。
『あ、えっと……』
「顔色悪いじゃないか」
自分の部屋わかるか、と言ってアンドルーさんは手を差し伸べる。
いや、でも、診察室の方が……とも言って悩んでいる。
『食堂…行かないと…』
「食堂?具合悪そうだから休んだ方がいい」
『でも、ウィラさんに……』
ウィラさんに話さないと。
話さないで帰るなんてダメだろう。と思っている。
「ウィラ……?調香師か?」
私はアンドルーさんの言葉に頷く。
『トランプしている最中に、トイレに行ったんです……だから、何も言わないで、帰るなんて…ウィラさん、怒るかも…』
「そんなことで怒る人じゃないだろう」