第2章 始まり
ため息が出そうだったけど、我慢した。
きっとため息をしたらハンターは変なこと言うだろうから。
『(寝よう…)』
そう思って布団の中に潜る。
ハンターの事は無視しよう、と心に決めて眠ろうと目を閉じた時ある事に気づいた。
『(そう言えば、アンドルーさんにお礼言ってない……)』
体調が悪かった私をここまで横抱きにして、運んでくれたのにお礼ができていなかった。
目を開けてどうしようかと考える。
そんなに時間経ってないから、まだ食堂か近くにいるかも。でも今から彼の元へ向かって、お礼を言いに行くのって迷惑じゃないかな…。
それに彼から休んどけって言われてるし、ウロウロしていたら怒られちゃうかも。
『(どうしよう…)』
今覚えているうちに、お礼言ってた方が良いと思う。
『よし…っ』
ハンターに聞こえないような小さな声で呟いた。
ベッドから起き上がって、立ち上がるとハンターが「おや、何処か行かれるんですか?」と聞いた。
『えっーとぉ…お、お手洗いに…』
本当の事を言うと面倒くさくなるだろうし、教える必要もない。だから嘘をついた。
「連れて行きましょうか?場所もまだ分からないでしょう」
『あ、いえ…大丈夫です』
ハンターが言った通りトイレの場所はまだ覚えて無い。
でも本当はアンドルーさんに会いに行くから、断った。
『その、すみません……』
と言ってそそくさと私は医務室から出て行った。