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Identity5【第五人格】乙女のままで

第2章 始まり



ため息が出そうだったけど、我慢した。


きっとため息をしたらハンターは変なこと言うだろうから。


『(寝よう…)』


そう思って布団の中に潜る。


ハンターの事は無視しよう、と心に決めて眠ろうと目を閉じた時ある事に気づいた。


『(そう言えば、アンドルーさんにお礼言ってない……)』


体調が悪かった私をここまで横抱きにして、運んでくれたのにお礼ができていなかった。


目を開けてどうしようかと考える。


そんなに時間経ってないから、まだ食堂か近くにいるかも。でも今から彼の元へ向かって、お礼を言いに行くのって迷惑じゃないかな…。


それに彼から休んどけって言われてるし、ウロウロしていたら怒られちゃうかも。


『(どうしよう…)』



今覚えているうちに、お礼言ってた方が良いと思う。



『よし…っ』


ハンターに聞こえないような小さな声で呟いた。


ベッドから起き上がって、立ち上がるとハンターが「おや、何処か行かれるんですか?」と聞いた。


『えっーとぉ…お、お手洗いに…』


本当の事を言うと面倒くさくなるだろうし、教える必要もない。だから嘘をついた。


「連れて行きましょうか?場所もまだ分からないでしょう」


『あ、いえ…大丈夫です』


ハンターが言った通りトイレの場所はまだ覚えて無い。


でも本当はアンドルーさんに会いに行くから、断った。


『その、すみません……』


と言ってそそくさと私は医務室から出て行った。


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