第2章 始まり
そろそろ行った方がいいかな、と思ってベットから起き上がって部屋から出た。
エミリーさんから教えてもらったのに、全然場所が分からない。
他のサバイバーも何処にいるのも分からない。全然見当たらない。
とりあえず、辺りをうろうろしてみる。
『こっちかな…』
広くて迷子になりそう。
真っ直ぐ行ってみると、見覚えがある場所。
このまま進めば食堂に行けるかも。
『!』
その時、身体が固まった。
距離は離れているけど、目の前にさっきのハンターがいた。
身体が震えだす。
さっきのおぞましい記憶が蘇る。
思い出したくない。
『ど、どうしよう……』
ハンターは前を見ていて、きっと後ろは見えてないから私の事には気付かないはず。
でも、もしこっちに来たら……
そう思って、その場から離れようとする。
──隠れた方がいいかな
ここにいるのが怖くなってきた。
『ふぅー、はぁー…はぁー……』
深呼吸して、心を落ち着かせる。
『大丈夫、大丈夫……』
自分にそう言い聞かせる。
恐怖で足が震えて動けないから、震えを手で抑える。
そのまま歩こうとするけど、
──あ、ダメだ……
無理だと悟った。
『えっ……』
そのまま崩れ落ちて倒れると思ったけど、そうはならなかった。
誰かに支えてもらっていた。
『あ、ありがとう、ございます…と、その…』
イソップさんと、初めて見る人。
支えてくれたのはイソップさんじゃない方だった。
「墓守のアンドルー・クレス」
『あ、あんどるーさん……』
白くて綺麗な人だ……
「意外です」
隣にいるイソップさんがぽつりと呟いた。
「何が?」
「アンドルーさんが女の人を支えれるなんて」
「な…っ、何をいってる!僕だってこれくらい出来るぞ!」
喧嘩が始まるのかな。と思ったけどそうはならなかった。
「さん大丈夫ですか?まだ休んでいた方がいいですよ」
『あ、もう十分休んだので、大丈夫です』
「無理、しないでください」
イソップさんの言葉に私は曖昧に頷いた。