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Identity5【第五人格】乙女のままで

第2章 始まり



そろそろ行った方がいいかな、と思ってベットから起き上がって部屋から出た。


エミリーさんから教えてもらったのに、全然場所が分からない。


他のサバイバーも何処にいるのも分からない。全然見当たらない。


とりあえず、辺りをうろうろしてみる。


『こっちかな…』


広くて迷子になりそう。


真っ直ぐ行ってみると、見覚えがある場所。


このまま進めば食堂に行けるかも。


『!』


その時、身体が固まった。


距離は離れているけど、目の前にさっきのハンターがいた。


身体が震えだす。


さっきのおぞましい記憶が蘇る。


思い出したくない。


『ど、どうしよう……』


ハンターは前を見ていて、きっと後ろは見えてないから私の事には気付かないはず。


でも、もしこっちに来たら……


そう思って、その場から離れようとする。


──隠れた方がいいかな


ここにいるのが怖くなってきた。


『ふぅー、はぁー…はぁー……』


深呼吸して、心を落ち着かせる。


『大丈夫、大丈夫……』


自分にそう言い聞かせる。


恐怖で足が震えて動けないから、震えを手で抑える。


そのまま歩こうとするけど、


──あ、ダメだ……


無理だと悟った。


『えっ……』


そのまま崩れ落ちて倒れると思ったけど、そうはならなかった。


誰かに支えてもらっていた。


『あ、ありがとう、ございます…と、その…』


イソップさんと、初めて見る人。


支えてくれたのはイソップさんじゃない方だった。


「墓守のアンドルー・クレス」


『あ、あんどるーさん……』


白くて綺麗な人だ……


「意外です」


隣にいるイソップさんがぽつりと呟いた。


「何が?」


「アンドルーさんが女の人を支えれるなんて」


「な…っ、何をいってる!僕だってこれくらい出来るぞ!」


喧嘩が始まるのかな。と思ったけどそうはならなかった。


「さん大丈夫ですか?まだ休んでいた方がいいですよ」


『あ、もう十分休んだので、大丈夫です』


「無理、しないでください」


イソップさんの言葉に私は曖昧に頷いた。
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