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【ONE PIECE】人はそれを中毒という

第8章 私という存在


「その男は独占欲が強いな」
「?」

とんとん、と自分の首を指差すドフラミンゴ。
同じように手を当てれば離れる寸前にやられたのか、ボタンの飛び散った襟。
晒された首や胸元にはローがつけた噛み痕やキスマークが点在している。

「そんなんで束縛したがる男なんてやめて俺にしておけよ」
「お前は実物で束縛しそうだからお断りだ」
「分かってるじゃねぇか、俺のこと」

手錠に首輪、開かずの部屋用意してやるよと怪しく笑う。
冗談じゃない。

「欲求不満なら他を当たりなよ」
「お前がいいんだ」
「じゃぁ、一生飢えてな」
「酷いねぇ」

独特な笑い方で「しばらく厄介になる」と言い部屋を出ていった。
外がざわざわし、遠くでドフラミンゴを部屋へと案内する部下の声が聞こえる。

緊張の解けた体から深いため息がでた。
とても疲れた。

「お疲れ様です。珈琲いれましょうか?」
「…うん、お願い」

開けっぱなしの扉を、ドフラミンゴと入れ替わりに入ってきたジルが閉める。
それを横目にクローゼットから新しいシャツを取り出し、ドフラミンゴに破かれたシャツを脱いだ。

「どうぞ」
「ありがとう」

珈琲を手渡してきたジルに礼を言って受けとるが、まだ出されたままの手に首をかしげる。

「早くシャツ着てください。それ、縫っておきましょうか?」
「あ、うん。ありがとう」

ボタンのないシャツを渡して、新しいシャツに袖を通す。

「あと、私も男ですからね。あまり無防備な姿を晒さない方がよろしいと思いますよ」

にこりと笑った顔に寒気がして、
急いでシャツの前をしめた。

「まぁ私はあなたに信頼と尊敬以外の思いは抱いておりませんので安心してくださって構いませんが、他の隊員には目に毒なので配慮してくださいね」
「どく…はい、気を付けます…」

しょぼっと反省をしているクロエには、ジルの「あなたが思う意味ではないんですがね」という呟きは聞こえなかった。

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