第7章 誕生日
「ロー!」
コテージに頼んだ朝食が運ばれ、さぁご飯を食べようというときにクロエが待ったをかける。
箸を片手にそちらを見れば、立ち上がっていたクロエがペコリと頭を下げた。
「お誕生日おめでとう!!」
「言動が一致しねェが……ありがとう」
おかしな行動に引いていたら、だって、とクロエがこちらを見てからまた頭を下げた。
「プレゼント間に合いません!ごめんね」
「そんなんで謝るな。何事かと思った」
「そう?」
「むしろお前よく覚えてたな…あぁ、今朝のベポの電話か」
「うっ…」
ばれた、という顔でおおよその流れは分かった。
クロエが当日に思い出せるわけがないのだ。それは共に過ごしてきた長い年月で分かりきったこと。
むしろ連絡してくれたベポに感謝だ。
「それで今プレゼント渡せない代わりに、今日一日はローのしたいことに付き合おうと思って」
「したいこと、ねぇ…」
「なにかない?」
私が全権力を振りかざして叶えてあげるよと息巻いてるクロエに呆れつつも、考えてみる。
したいことと言われても、いつもやりたいことしかやってない。
改めて言われるとなにも出てこなくなるんだなと思った。
「考えておく。冷めるから早く食べろ」
「なんでも良いからね。じゃぁいただきます」
ぱちりと手を合わせて食べ始めたクロエに、どうしようかと考えを巡らせた。
「ねぇ、ロー達のつなぎは誰がマークとか入れてるの?」
「つなぎ?」
「そう、つなぎとか服に結構みんな海賊旗入ってるでしょ?全部外注?」
「それもあるが、クルーに裁縫が得意なやつがいて、小さいものとかだったら縫ってたりしてるな」
「マメな海賊だね…」
自分の服も何着かやって貰ってたりする。
「ローはつなぎ無いの?」
「あるが…着ない。船長まで同じとかバカみたいだろ」
「まぁ全員同じ服とかちょっと笑えるけど…ローのつなぎ姿見てみたい」
「船の中だ。諦めろ」
「え、ちょこっとシャンブルズやってよ。ルームおっきく広げてさ」
「体力削るんだぞ」
「大丈夫大丈夫」
なにがだ、と言いたいが期待に満ちた顔を見て素直に手を翻して能力を発動する自分に呆れてしまった。