第7章 誕生日
手元に来たつなぎにクロエは満面の笑みで広げる。
正直この暑い気候の中で着たくない。
着ているクルー達は何かの猛者だ。通常だと熱中症になりかねない。
「暑くて着たくねェ」
「え、せっかく取り寄せたのに」
「お前が着てみれば良いだろ」
着たくない一心の言葉に、良い案だと後から思う。
むしろハートのジョリーロジャーを背負うクロエを見たい。
つなぎを見つめながら躊躇っていたクロエだが、「船長が言うんだからまぁいいか」とぶつぶつ言いながら脱衣所へと向かった。
その後ろ姿を見ていたら、なんだか緊張してきてしまった。
クロエが仲間に入ったかのようだ。
そして、着るのは俺のつなぎで。
身長差からみてダボダボだろう手足の裾に、肩からずり落ちる襟元。
そこから覗く鎖骨に…
「どこ見てんの」
「…っ」
はっと声のする方を見れば、ローを覗き込むつなぎ姿のクロエ。
「…はぁ」
「着替えてきた感想がため息とか酷くない?」
「そうじゃねェ」
彼シャツ的な妄想を少しでもクロエに期待したのが間違い。
綺麗に折り畳まれた手足の裾に、きっちりとスナップボタンまでとめられた首もと。
チラリとも素肌なんて見えない。
正しい着方をしているだけだから文句は言わない。
が…
「ちょっとこっちこい」
「ん?」
引き寄せてボタンをはずし、ジッパーを全て下げる。
「色気ねェ」
「つなぎにどんな期待をしてるの」
先ほどのタンクトップに下は履いていた短パンまで見える。
というかなにも脱がずに上から着ただけだった。
「脱げ」
「え、着たばっかなのに」
「この中に着てるやつだ」
つなぎの上を脱がしタンクトップを剥ぎ取る。
驚いてるクロエをよそに下までずり下ろして短パンも脱がす。
そして下着になったクロエにつなぎを着せはじめる。
されるがままのクロエは、もはや飽きれ顔だった。
へそ辺りでジッパーをとめ、首元の襟を広く開けた。
「良い眺めだな」
胸元や首筋に花開く痕が見えて満足げに頷く。
色気が出てきて何よりだ。
「なんだか変態チックだなぁ…こんな着方するの?このつなぎ」
「俺以外の前でやったら縛りあげるぞ」
「どんな脅しよ、それ。一々卑猥」
抱き寄せたクロエを膝に乗せ、露になった胸元に顔を寄せた。