第7章 誕生日
ベポからローに電伝虫が掛かってきた時、何故かクロエに代わってと頼まれ、いまに至る。
「え、え…!?」
『また忘れてたの?相変わらずだなぁ』
連休の最終日、明日の午後からは出勤だ。
憂鬱な事を思い出して朝からやだやだ言っていたら、まさかの大事な日を忘れていた。
『キャプテンの誕生日の今日は、恋人のクロエに一日譲ってあげるから二人でお祝いしなって皆が言ってるよ』
「そ、それはとても有難いけど…忘れててなぁーんにも用意してない」
『それは知らないよ。自分でどうにかしなよ』
「冷た…」
確かに忘れてたのは私だけど。
今はシャワーを浴びているローの方を見ながらため息が出た。
昔から私は記念日云々を当日に思い出せないのだ。
1ヶ月前とか過ぎた後とか、どうでもいい時に思い出す。
恋人のいる身としても、女としても終わってる。
「まぁ連絡くれてありがとう。是非とも次からは前日に教えてほしい」
『やだよ。覚えていられるように手にでも書いておけば?』
ベポって見た目癒し満載で可愛いのに、結構辛辣だ。何だかんだ助けてくれるし優しいけど、こう毒々しい時もある。なんでこのタイミングでブラックベポなんだ。
通話を終えて考える。
プレゼントどうしよう、と。
シャワーから出てきたローは用事なんだったと聞いてくるが曖昧にはぐらかした。
どうせ録な事じゃないとあたりをつけたローは、コテージの内線で朝食を頼むべく、シャツを羽織ながらリビングに向かっていった。
と、そこで思い付く。
ローは着るもの殆どがオーダーメイドだったりする。
気に入るデザイン(主に海賊旗だったりハートだったり)のものが売ってないからって理由。
こだわるなーとは思っていたが、これはプレゼントしてもいいのでは?
海賊旗なら私でもわかるし、口の固い服飾の職人も知ってる。
そうと決まれば連絡しようと、まだリビングから戻ってこないのを確認しながら個人用の電伝虫を取り出した。