第6章 休暇(後半)
「結局素に戻れるからコテージが楽よね」
お店で数杯飲んで早々にコテージへと戻ってきた。
飲むだけなら先日シャチ達がきた時に買ってきて貰った酒がまだ沢山残っているからここで事足りる。
つまむものだけ買ってきて、すでにテーブルの上に広げていた。
「でも今日は良いもの見れた。今のところ浮気とか出来なさそうね、ローは」
「うるせぇよ」
不貞腐れてるローの口にクロエはつまみを押し込んだ。
なにすんだと怒りながらも此方をじっと見ながらもぐもぐ食べるロー。
「どうしたの、今日は珍しいね」
「別にいつもと同じだろ」
「そう?」
向い合わせのソファから、ローの座る長椅子へと場所を移す。
意識したわけではないが、少し隙間を空けて座ったら、すぐにに腰を抱き寄せられて体が密着した。
くっついていたいという思いが伝わり、そう言えばローも船での用事もあって別行動が長く、少し離れてたなと思う。クロエもその間ペンギン達と出掛けたりしていたのだ。
「あと数日、ローは予定はなかったよね?」
「あぁ」
「じゃぁさ、行きたい観光地が四つくらいあるの。毎日1つづつ回って、その場の一番美味しそうなもの買って帰ってきたら飲もう!そんなぐーたらな生活良くない?」
「良くはねェ。なんで毎日飲むんだよ」
「飲むでしょ普通」
「普通ではねぇよ。せめて晩酌にしろ」
「そんな時間まで待ってられないよ」
「アル中かよ」
以前心配したローに、能力でスキャンされたことがある。
中毒になってないか確認していたのだ。
「心配ご無用。自分の限界くらい分かります」
「…バカな理由で死ぬんじゃねェぞ」
返事の代わりにちゅ、と軽いキスを送るとため息を返された。
心配されてるのが分かるから感謝を込めてしたのに、失礼な反応だ。
「ねぇ、一緒に飲もうよこれ」
今回ローが新しく買ってきてくれたお酒の瓶を取り出して、新しくグラスを二つ用意する。
「折角だし月見酒といこうよ。今日は月が綺麗だよ」
頷いたローとバルコニーに場所を移す。
空を見上げると微妙な大きさの月だったが、雲一つ無い夜空は月以外にも星が煌めいている。
もう数日したら満月だろうか。
「また満月になったら月見酒しようか」
「少しは酒から離れろよ」
グラスに注いだ液体を揺らしなが問えば呆れた声が帰ってくる。
それが私なんだから仕方がない。