第5章 最速・最年少記録を持つ女
『大将青キジに推薦されて入隊してから負けなし、失敗なしで任務遂行率は100%。狙われた海賊は必ずインペルダウンに投獄されている』
『100%…』
『それだけじゃなく、四皇や七武海のやつらですら彼女に一目置いていて殺り合おうとはしない』
『なんですか、その最強な女性は…』
ほんと、なに者ですかお前は…とペンギン。
知るか、とクロエはバーガーを五個頼む。
その後ベポ達は何個食べる?と振り返ると、信じられないと顔に書いてある二人がいた。
『ドフラミンゴ、モリア、クロコダイルあたりは自分のところに勧誘してるらしいしな』
『海兵を勧誘なんて!』
『まぁ、クロエ中将の海兵らしからぬ気質がそうさせるのもあるんだろうな』
『気質、ですか』
『あぁ。正義を掲げるには少し異質だが…それは俺が話すことじゃないからな。海軍にも色々な人物がいるが彼女は更に変わっている。海賊みたいな人だと言う人もいる』
『そんな人がなぜ中将に…』
『一言で言ってしまえば腕っぷしとカリスマだろうな』
クロエという名前だけで四皇や七武海のように海賊の牽制となる武力。
いかなる強敵であっても情報を駆使し、知将として隊を動かし勝利する軍師としての腕。
『軍の士気を高めるためには自らが先陣をきって敵に突っ込んでいくんだ。そんな彼女を支え守ろうと部下が奮闘するからこそ、彼女の隊は他に比べて全員が圧倒的に強い』
『だがな、彼女に優しさという言う言葉はない。教育がスパルタ過ぎて彼女の隊に配属されて2、3ヶ月後に残ってる新人は1/3以下。そして半年後は一桁に減っている。』
ザ・お節介やきジジイな風貌の男が話しに付け加えている。
なんで自軍の教育状況が漏れてんだと憤るが、変に尾びれが付いていない事実を披露されて少し嬉しくなってしまった。それだけクロエの噂話は事実とはかけ離れた内容ばかりなのだ。
『選ばれし生き残った数名が徐々に増えていき、長い年月をかけてあそこまで大きくなり、今や中将を支える軍となったわけだ』
お前最強じゃん、とペンギンが呟く。
いや、照れるねと返せばあのザ・新人はキラッキラした顔してんぞと言われ、見てみたら確かにその通りで。
『憧れますね、クロエ隊!』
『あーやめとけやめとけ!』
『なぜです?』
『こんなところでノンビリ海兵やってる奴には着いていけねぇよ』