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【ONE PIECE】人はそれを中毒という

第1章 今の二人


海軍本部にある大会議室。
畳敷のそこには大勢の男が綺麗に横並びで座り込んでいる。
大小様々なサイズの人間が居る中、最前列に座っているのはその中で見れば小柄な女性。
とはいえ、彼女自身も女性の中では高身長であるのだが。

「暑苦しいなぁ…」

むさい男ばかりに囲まれたと愚痴れば斜め前からだよね~といらぬ返事がきた。
だらけきった正義、がモットーの青キジだ。

「おじさん、顔出したからもう帰ってもいい?」
「クロエちゃん、一応職場だからおじさんはやめようや。おれにもね、ほら、あれだよ…あれがあるんだけど…なんだったかな…」
「忘れたならどうでもいいんじゃない?」
「それもそうだね」
「いえ、駄目ですよ。大将としての面子がありますでしょう」
「そうそうそれだよジル」

うんうん頷いている青キジに、クロエの側に控えていたジルが告げる。
苦労人なため息をついていると会議の開始が知らされた。

今回はここ数ヵ月で世間を騒がせているルーキー達の懸賞金について見直しをする。
ボードに貼られていく手配書をぼんやりと見つめるクロエはもはややる気のなさが見てとれた。
そんな彼女に、青キジと同じく斜め前に座るサカズキがビシビシと怒りの視線を飛ばしていた。

(そんなに睨まなくたっていいのに。出てるだけ偉いでしょうに…)

あえてその視線を無視したまま欠伸をひとつすると、更に強めの視線となった。

(おぉ怖。やっぱりモモンガのように外勤がいいなぁ。鍛練切り上げてさっさと海に出よう。適当に海賊を刈ってれば文句は……ん?)

ぼやぁと眺めていた手配書が次のものに替わり、そこには見知った顔があった。
大胆不敵なニヒルな笑みに、こっちまでつられて同じ顔になりそうだった。

(議題に上がるって事は、賞金が上がるのか。なかなかのスピードだこと)

新しく撮られたのか以前はなかったあごひげが、青年のなかにも大人の色気を醸し出す。
どこか夜の酒場辺りからピンクい声が上がりそうだ、なんて事を考える。
そういえば最近は連絡取っていないからこの手土産をもって会いにでも行ってみようかなんて会議中にも関わらず浮わついていたクロエ。

そんな彼女をじっと見つめる二つの視線に、あえて知らない振りをするのだった。




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