第23章 ハートの新人、初陣
「海賊船?」
「そう。結構大きい」
操舵室を覗いてみれば望遠鏡でのぞいていたペンギンが教えてくれた。
まだ遠いみたいだが、旗を見れば懸賞金の高い賞金首が乗っているそうだ。
近頃七武海の献上金やら医療設備のメンテナンスで資金が大分減っていたから、ここらで調達しようと考えたらしい。
「懸賞金は?」
「一億五千万」
「上々♪」
楽しそうな声に背後を振り返ったペンギンはまさか、と眉を寄せる。
「賞金首取って、ついでにお宝奪いに行こう!」
「元海兵の台詞かよ」
まぁそうするけどよ、と船の向きを変える。
数十分で着くと計算していれば、それまで黙って海図を見ていたローが顔を上げた。
「お前も参戦するのか」
「だめ?」
「いや。だめじゃないが…」
「そうかそうか、キャプテンは私の戦闘力に関して不安があるのか」
「そうじゃねぇ。鍛練始めてからからまだ日も経ってないだろ」
「しょーがない、私の実力見せてあげましょう」
「聞けよ」
「私の初陣、華々しく行こうじゃないか!今回の狩り、私に任せてもらえない?」
「は?」
一人でやる気か?と問えばyesと意気揚々と返される。
仮にも億越えの賞金首。回復後そこまで戦闘力があがったとは思えないクロエに不安が募る。
だが本人に言ったところで既にヤル気満々。
まぁ今の自分の実力も分からないようなバカではないから任せてみようかと考え、ローはOKをだした。
「少しでも危なっかしいと思ったら強制的に連れ戻すからな」
「了解です、キャプテン」
やった!と浮かれながら操舵室をあとにするクロエを見送りながら、ローとペンギンは顔を見合わせた。
「今のクロエにいけますかね…元々が強いのは重々承知だけど…」
「正直鍛練の中身までは把握してねぇからな。暇さえあれば鍛えてるのは知ってるが…」
一億五千万を軽く見てはいないだろうか。
一抹の不安が残るが、結局は危なくなったらローが連れ戻せばいいか、と考えるのをやめた。