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【ONE PIECE】人はそれを中毒という

第23章 ハートの新人、初陣


「なんだか"兄"みたいで凄く嬉しいんだけどね、」
「?」
「そろそろ手を下ろした方がいいかも…」

くいっとペンギンの背後を指差すクロエに、ひきつった声が漏れ、冷気に背筋が伸びる。
船内からローが出てきていて、底冷えする冷気を垂れ流しながらこちらを佇んでいる。

今だけは見聞色が使えたんじゃないかという程正確に背後の状況を読み取ったペンギンは、ハンズアップし、なんもしてません!と叫んだが怖くて背後は振り返れなかった。

「……システムチェックだ」
「よろこんでーっ!!」

酒場の掛け声のような勢いで返事をして船内へと消えるペンギン。
その後ろ姿を笑いながら見送っていれば、近づいたローがペンギンのように頭に手を置いた。

「?」

されるがままにしていれば、がしっと髪というより頭部を捕まれる。
ぎりぎりと込められた力に抵抗すれば、「頭だけか」と聞かれ、少し痛む頭を縦に動かし肯定する。
これはまさか嫉妬か?
上書きするようにペンギンが触れたところに手を這わしていくローの顔は無表情にも見えるが、見る人が見ればむくれ顔。

理解したクロエの嬉しそうな顔を見てバツが悪くなったのか、視界を遮るようにワシャワシャと髪をかき混ぜられた。

「勝手に触られてんじゃねぇよ」
「…アイアイ、キャプテン」

むすっとする唇を引き寄せてお詫びのキスをした。





ペンギンに指示したシステムチェックに立ち会うために船内へと戻ったロー。
それを見届けてからシャチが上階の甲板から飛び降りてきた。

「いやーキャプテンの独占欲もなかなかだな」
「あんなに嫉妬深かったかね…」

一部始終を見ていたシャチ。
ペンギンが頭を撫でてきた辺りから視線を感じていた。

「クルーにまで嫉妬しなくたってなんも心配ないのに…」
「わかっていても、心はどうしようもできないからな」

手すりに寄りかかり青空を見上げるシャチは、ついでに聞くけど、と前置きして此方を向いた。

「お前には独占欲とか嫉妬とかないの?例えば、イッカク、とかさ」

お前が海軍にいたときは側にいられなかっただろ?とシャチは言う。
その間ローの事でやきもきしたりしないのか、と。
同じように天を仰いでいたクロエは、一呼吸置いた後にシャチに微笑み、何も言うことなく船内へと戻っていった。

「どっちも重たー…」

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