第20章 番外編 勘違いから始まる
「…ここまですることねェだろ」
「言いたくがないために能力使って逃げられてもイヤだからね」
ベッドの枕に力なく倒れこむローは、観念したように四肢を投げ出す。
横に座り、ローに向き合った。
「私はね、ローが思っているよりも不器用なの」
ローほど強い意思でもないけど、恩を返したい人がいる。
その人の為になることをしようと日々過ごしていて、ゴールは分からないけれど日頃の鍛練が少しずつ目に見えて成果となってきた。
自分の隊といえるものもできて、部下もいる。
責任が増えて不馴れな事務作業も膨大に増えた。
「そんな中でローと過ごす時間も確保するのは結構大変なのよ?同時に複数と遊ぶなんて、そんなキャパは私にはない」
ローの目を見て言えばばつが悪いのか視線をはずされる。
「それに私の愛は重いって知ってた?」
ちらりと訝しげにこちらに向いた目に笑う。
そんな素振りは見せたことないから当然ではあるが。
「ローが縛られたくないのが分かっているから表に出さないだけよ。本当なら離れないで捕まえて手元においておきたいし、貴方のその体に私の名前を刻み込んで近寄る女を牽制したい。ローの近くにいれる女は私だけであってほしい」
思いのまま喋れば少し目を見開いているロー。
「ローの為ならね、なんでもすると思う」
機密文書盗めといわれても、
スパイのように海軍の動きを知らせろといわれても、
誰かの首を取ってこいといわれても(それこそドフラミンゴだったとしても…)、
海軍辞めろと言われたって、言う通りにするだろう。
ローが私利私欲ばかりでは動かず、冷静に私の想いを理解してくれているから無茶な願いを口にしないだけで、私は愛する人のためならばそれすらもyesと答えてしまうほど愚かなものになってしまう。
「ローは、私にどんな感情を抱いているの?」
そろそろ効き目が現れるかな、とパフォーマンスで時間を見て、投げ出されているローの手を握りながら聞いた。
「…俺は、」