第20章 番外編 勘違いから始まる
服の裾から手を入れられると、その冷たさに体が跳ねた。
背筋を撫でられながらもう片手で髪を掻き分け、耳を出すと遠慮なしに噛みついてきた。
「いっ…ちょっといい加減に…」
「なんか文句あんのか」
「あるに決まって…んむっ」
身に付けていたマフラーが取られ、それを口許に巻き付けられて後頭部で縛られる。
猿轡を噛まされ体を仰向けにひっくり返され、やっと正面から見れたローは、先程と変わらず無表情でこちらを見下ろしていた。
(好きにしたらいい、て言いながらこの仕打ち…)
無表情の中にも瞳の奧では欲がギラついていて、体を這う手の力は強い。
肉に食い込む強い指圧は正直痛いが、欲を伴えばその痛みも甘く変わる。
「…とめる割には体はノリ気だな」
ズボンの裾から手を突っ込まれ、下着も意味なく直接秘部に触れる。
少なからず潤うそこにローは意地悪く言うのに対し文句を言いたいが、変な呻きしかでない。
(そう仕向けてるのはローでしょっ!)
されるがままなのが気に食わずに手を退かそうと足を振り上げた。
「足癖わりぃな…脱がせ難いだろ」
「…っ」
手を退かすことには成功したが、両足を掴まれズボンを下ろされる。
足をばたつかせてみるが後ろ手に縛られているためバランスが取れず力が入らない。
結局大した抵抗にもならずに、身に付けていたズボンは何処かに放り投げられてしまった。
覆い被さってきたローはクロエの着ていたシャツのボタンをはずすと下着を上にずらし、胸のぷくりと立つ頂を口に含んだ。
「ん゛ンっ!」
(噛んだ!!?)
敏感なところに歯をたてられ全身が強ばる。
睨み付ければどこか嬉しそうなローがこちらを見ていた。
気遣いが霧散したドS全開のローは本当にやばい。
戦闘をみていてもエグすぎる。
私もバラされかねない。
「なによそ見してる…あァ、鬼哭か」
戦闘時の事を思い出していたからか視界の端に写った刀を見た。それがいけなかった。
「お望みなら使ってやるよ」
体から離れたローは鬼哭を手に戻る。
まさか本当にバラすのかと後退しながらローを見上げる。
「切ったりはしねェ」
ふっと笑った顔はもっと恐ろしい事を考えていた。
体の下にあった手を縛るマフラーをほどく。
呆然と見てると鬼哭を膝裏に通された。