第2章 幼馴染みたち
ウィスキーの瓶を出して先程のペンギンと同様並々とグラスに注いだそれをシャチに渡す。
「なら、これでチャンポンにしよう」
「げ、マジで言ってンの!?」
正直ヤバイ組み合わせだったが自分だけ不得意なものを呑まされるのも癪だ。
有無を言わさず握らせたグラスに、カチンと自分のグラスをぶつけて一気飲みするクロエだった。
「結局こうなるんだよね」
「煽りまくるお前のせいもあるだろ」
シャチを潰し、酒も回って絡みだしたペンギンを潰したクロエは、ローと一緒に静かに酒を楽しんでいた。
因みにベポはおなかいっぱいになって早々に寝ていた。
「ギャプデ~ン"!!」
「断る」
シャチとペンギンは先程からソファとトイレを何度も往復していた。
まだ気持ち悪さが抜けないのか、ローに能力使ってアルコールを取り除いてくれと懇願している。
「てか、なんでお前はっ……うぇっ」
「ペンギン、吐くならトイレ行け」
「だ…大丈夫…」
「私が酔わないのが不思議?」
「う゛ん゛……」
顔を青くしたままペンギンが頷く。ついでに気持ち悪くなったようで、口許を押さえていた。
「私、デフォルトで毒とかに強いの。アルコールくらいならすぐ中和されちゃうから酔えないの」
「なにその羨ましい能力…う゛ぅっ」
「なんか嗚咽が気持ち悪い」
アルコールに負け項垂れる頭が2個。
しょうがないなとクロエは荷物の中から取り出した小袋を二つ、彼らの前に差し出した。
「クロエ様!!」
「やっぱ持つべきは優しい幼馴染みだな!」
がばっと起き上がった二人はその小袋を破って中身の粉を口に含み水で流し込んだ。
クロエ特製酔い醒ましの薬だ。
「それ、前のとは違って新しく調合したやつだから、副作用とかあったら報告してね」
「え、俺らで検体するってこと?」
「そうよ。材料費も高いんだからタダじゃないわ」
「「ひでぇ」」
感謝されど非難される筋合いはない。
趣味とはいえ人に与えるものだから害はない、と思う。
副作用で死にはしないだろう。