第2章 幼馴染みたち
「あ、みんな久しぶり!」
扉を空けた先にはクロエが愛刀を片手にローに詰め寄っている姿。
笑顔でこちらに挨拶をしているが、ローに打ち込もうと手に持った刀がギリギリといっている。
鞘に収まったままなのが唯一戯れているだけだといっていた。
「なにしてんの?」
ソファの背の部分に乗り長身のローの脳天をつこうと構えるクロエに、そんな彼女の両の手を押し返しているキャプテン。
なんか前も見たことある気がする、とベポ。
それにデジャヴだなと返したシャチ。
それもそのはず、前回会ったときにも同じようなやり取りはしていた。
「何が原因だか知らねぇけど、とりあえず座ろうぜ。腹へった」
「そうだ、クロエ!いっぱい持ってきたよ~」
イスに促すペンギンと、箱の中身をクロエに見せるベポ。
それを目にしたクロエは、一瞬のうちにベポの前に移動していた。
「これ!前に飲んで美味しかったやつだ。また買ってきてくれたんだ」
「そうだよ。キャプテンがわざわざ取り寄せたんだ」
ありがとうロー、とはにかむクロエの機嫌の変わりように、ローは呆れた視線を向けるだけだった。
テーブルに乗りきらない程のお酒とご飯を皆で囲む。
シャチが全員にグラスがわたったのを確認してから声高々に乾杯の音頭を取ってグラスを合わせた。
「え~久々の再会に!かんぱ~い!」
かちんっと複数の音が響く。
ぐびぐびっと勢いよく飲み干したのは酒バカのクロエと宴バカのシャチ。
「クロエ、呑み勝負しようぜ」
「え~そう言ってシャチあっという間に潰れるじゃん」
「だからハンデくれよ」
どん、とまだテーブルに出していなかったひとつの瓶をクロエの目の前に置いた。
「あぁ、それならシャチも勝てるかも」
ペンギンが新しいグラスに並々とそれを注いだ。
クリーム色の液体が揺れながらクロエの前に差し出される。
「さ、いってみようかクロエ」
お酒大好きクロエにも苦手なものがある。
それが今目の前に差し出されたカルーアだ。
「シャチ!卑怯!なんで私の苦手なやつでやるの!」
「こうでもしなきゃお前には勝てねェしな」
「……んん~…」
暫く苦い顔をしていたが、溜め息一つついてクロエはシャチにもう一つのグラスを渡した。