第16章 番外編 キスしよう
4.チョコキス……じゃなくて梅干しキス
「あーお腹へった~」
「今日の厳しかったね」
「キャプテンもいたからなぁ」
潜水艦の甲板にて行われた格闘大会、という名の鍛練。
不定期開催されるトーナメント戦で、参加するものが戦っていく。
一人勝ち抜いたものがデザート一個多めに貰える特典付きだ。
いつもは参加しないローも、今日は能力なしで参加していたために一気に難易度が上がり、最後は結局ローVSクロエになっていた。
「今日のクロエカッコ良かったな」
「あの背筋使っての反撃マジ惚れるかと思った」
「ふふふ。そーだろう、そーだろう。私はスゴいのよ」
「戦闘センスだけな」
シャチ達と喋りながら配膳を受けとる。
夕食のメニューは和食。焼き魚がてんこ盛りだった。
「今日、おにぎりの種類多いね~迷うわ」
「お前それ取りすぎだろ」
バイキング形式のおにぎりの山から全種類数個ずつ皿に盛っていく。
すでにクロエの皿には小さな山が出来ている。
「あ、珍しく梅干しある」
「あぁ、保存食で備蓄してたんだがそろそろ食べないとマズイんでな。キャプテンには気を付けろって言っておいて」
「ふ~ん…了解だよ」
おにぎり担当のコックと話ながらちらりと後方を見れば配膳担当から魚を貰っているロー。
ニヤリと笑い、ローのおにぎりも皿に乗せて近寄っていく。
「はい、ローのおにぎり」
「あぁ、サンキュ」
なんの疑いもせず受けとり、空いている席に腰を下ろすロー。
ニヤニヤをなんとか押さえながらその隣にクロエも腰掛けた。
「「「いただきまーす」」」
お決まりの挨拶に、待ってましたとばかりの夕食が始まる。
クロエは味噌汁を啜りながら、ローをチラチラと盗み見る。
「なんかクロエの視線やばすぎ」
「えっ、な…なんてこといきなり言うの!」
疚しいことがバレると思ったら、キョドってしまった。
向かいに座るペンギンに変な目で見られたが、ローは気にした様子はなく魚をつついている。
そしてついに、おにぎりに手を伸ばした。
〉つづく