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【ONE PIECE】人はそれを中毒という

第14章 番外編 ハートの1日


昼食後、空模様も崩れることなく晴天のためにほとんどのクルーが甲板へと出ていた。
洗濯物がゆらゆらと揺れる一番広い甲板では、日の当たる暖かい場所で寝息をたてるベポと、それに寄りかかるロー。そして暇なクルーが囲むその中央にはクロエとペンギンが組手試合をしていた。

「やっぱまだ鈍いな」
「うわっ!あぶなっ!」
「前はこんなの余裕で避けられたし、なんならこんな攻撃する隙もなかったぜ」

首筋にはいるペンギンの手刀に冷や汗をかく。
ローがいるためによっぽどでなければ死なないからと怪我ありの実践を提案したのは自分。
手緩いものでは上達も遅いから、と思っていたが想像以上に苦戦していた。

「…うっ、体が全然反応しないっ」
「だろうな。というかここまで動けるだけでも大したものだと思うぜ」

そう言ってくれるが、しゃべる余裕があるペンギンにちくしょう、と悪態をつく。
今のところ加減もなしに攻撃しているというのに余裕綽々な態度が悔しくてしかたがない。
覇気を上乗せしてやろうかと考え出してしまった。

「力こそまだないが、あのペンギンと組手ができる時点で流石としかいいようがないな」
「ほんとっすね。体が衰えても戦闘センスは変わらずか…昔からセンスいいもんな、クロエは…」

じっと観察していたローが呟く。
側にいたシャチが参考になります、とサングラスの奥を光らせた。

よくベポに手解きを受けるペンギンは、獲物も得意だが体術もなかなかに強い。
元より相手の裏をかき隙をついて格上の相手をも伸して見せるその戦い方は、クロエを彷彿とさせた。

「あーもーっ!イヤな戦い方だなっ!」
「お褒めに預かり光栄。どっかの誰かさんそっくりでしょ」
「だから余計イラつくわっ!」

壁まで突き飛ばされながらクロエが喚く。
頭で考えた動きに体がついていかずにもどかしさを感じ、また自分と似た思考をもっての戦闘スタイルにため息をついた。
イヤなところを突いてくる攻撃がやりづらくてしょうがない。

体を引いて威力をいなし、壁に足をつきバネにして再びペンギンに向かって飛ぶ。
勢いのまま攻撃を繰り出すが前ほどの威力はない。
弱いそれは簡単にペンギンに受け止められ、背後に投げ飛ばすように流された。

「「あっ…」」

その瞬間、みんなの声が揃った。


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