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【ONE PIECE】人はそれを中毒という

第13章 ハートの海賊団


ツナギを着て嬉しそうに笑うクロエを見つめる。
初期メンバーと変わらぬ付き合いの長さがあるクロエだが、海兵として助けてくれたクザンに恩を返すと言う彼女を海軍へと見送り十数年。
やっと待ち望んだ姿が目の前にあり、柄にもなく感慨深く静かに酒を飲んだ。

自分は大事なものを体に刻む質がある。それを他人に押し付ける気は毛頭ない…はずなのだが、クロエには己のものだという証を刻みたくてしかたがない。独占欲もここまでくると異常だ。

僅かな相瀬の間にも幾度となくその体に己のマークを刻んでやろうと考えて、その都度なけなしの理性を総動員して抑え込む。彼女の立場…海兵であった時はその身に海賊との繋がりを刻むなど論外。見つかれば立場が危うくなるどころかインペルダウン行きでも可笑しくはないのだ。

それが今、衣服の上だが彼女の胸元と背中に己のジョリー・ロジャーが踊る。
悦に入るとはまさに今、この事だろう。

「キャプテン、どう?」

仲間の輪から外れ、側にきたクロエ。
着た感想を聞きたいのか目の前でくるりと一周した。

どうにも近頃のクロエは可愛らしく見えて仕方がない。戦う女将校(闘神)というステータスだったために愛らしいというよりは強かでクールな美人というイメージが強いクロエ。それがすべて身分がなくなって背負う責がなくなり身軽となったクロエは、子どもの頃には見られた無邪気さがでてきた。
今も子どものように誉めてほしいという期待に満ちた瞳をこちらに、向けるクロエ。それを愛しく見つめ返し、その腰を抱き寄せた。

「…似合うな」

するりとフェイスラインを撫でながらそう呟く。
妖しく指先が唇をなぞり、その柔らかさを確かめるように肉厚なところをくにくにと押せば頬に朱が差した。

「ちょ、キャプテ…」
「やっと俺のモノになったって視覚からも実感できる」

クルーがいる手前、キスはしない。
しないがしてもおかしくない距離にクロエが眉間にシワを寄せてこちらを見上げた。皆の前で、とか文句があるのだろう。

「流石に離れよう、か…」
「断る」
「えっ!?」










「あー…美男美女で絵になるなぁ」
「あそこだけ絵面が違うよな。足ながっ」
「同じツナギでどうしてこうも差がでるかね」
「言うな、悲しくなる」



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