第13章 ハートの海賊団
「う…まい…っ」
「泣くことかっ!?」
嬉しさ余って瞳が潤む。
だってしょうがないじゃないか。
世界中のお酒を集めることを人生の目標の一つに掲げるくらいお酒を愛しているのに、この数ヵ月…もしかしたら半年近くも飲めていなかったのだ。
久々のアルコールに少しくらりとした気もするが、それよりも新たに注がれた液体を優先した。
「おい、そんなに一気に煽るなっ」
「ん、大丈夫。次からはちゃんとチェイサーも挟んでゆっくり飲むから!それよりペンギンが持ってるそのお酒は何?」
「言ってる側からそれかよ!信用ならん"大丈夫"だな!」
「まぁまぁ。で、それ頂戴」
これでも飲兵衛だったのだ。飲み方も心得ているからお酒に呑まれるような失態はしないよ。
お酒に合わせて次々運ばれる料理。もう目と口が幸せすぎる。
小皿に取りそれに合うお酒もチョイスしていれば、これも食えあれも食べてみろと次々皿を渡される。なんだなんだと思いながら受け取っていれば、隣に座るイッカクが自分も口いっぱいにご飯を頬張りながら理由を教えてくれた。
「男連中に負けないくらいすごい食べるんだって聞いてるよ。みんな本当なのか見てみたいんだって」
「え?」
「やっぱり今までは療養中だったからクロエも普通の量しか食べてなかったし…まぁ、なんとなく量は増えてきたなとは思ってたけど」
「あ、増えてたの気付いた?」
「うん、最近は特に」
確かにコックに頼んで徐々に量を増やして貰っていた。それはこれから戦闘できる体を作っていくためには必要なことだったから。
しかし、私が沢山食べていたのはそれ相応に体を使っていたからで。療養していた平穏な日常では正直前ほどの食事量はいらないのが最近分かった。
というか今までは病気らしい病気をしたことがなかったので食事量が減ることがなく分からなかっただけなのだが。
それを皆に話していれば、その流れで主治医であるローに聞きたいことがあったのを思い出した。
「ねぇキャプテン。もう私はハードに動いたりしてもいい?そろそろ筋トレや組手やりたい!」
カウンターでベポといるローに問えばOKが出される。やった!と喜んでいれば船に戻ったら一緒にやろうねとイッカクが共に喜んでくれたのに笑顔で返す。前々から回復後に手合わせがしたいと言っていたのだ。ようやく応えることができる。