第13章 ハートの海賊団
眩しい光とすぐ近くで聞こえる声に意識が浮上する。
眩しさからうっすらと目蓋をあげれば、男の喉が視界いっぱいに写った。
(……?)
きょろっと瞳を動かせばソファが見え、そしてローが見える。
「起こしてわりぃな」
さらっと頬を撫でたローが腕を伸ばしてサイドテーブルになにかを置いた。
「電伝虫…?」
「あぁ。ペンギンからだ」
起きたときの声は電話してたからか。
少しずつ意識がハッキリしてきて、ローの胸に手をついて体を起こす。
ずり落ちた毛布を再度纏えば、下腹部に違和感を感じ、動きが止まる。
(え…はいっ…て…)
動けばくちっと音がするそこ。
何も身に纏っていない二人は未だに繋がったままだった。
「なんっ…」
「おい、急に動くな」
慌てて股がっていたローから離れようと体を動かすが、それよりも早くローがクロエの体を捕まえる。
「昨日…というか数時間前、そのまま此処で寝落ちしたからな」
ソファの上、座るローに股がり繋がったまま寝ていたということか。
心地よい疲労感と充実感で互いに力尽きたようにここで寝てしまったらしい。
「お前が落ちたあと移動してもよかったんだが、あれじゃぁな…」
「あれ?」
くいっと顎で示された先はベッド。
見事にぐちゃぐちゃにシーツがよれ、目を背けるほどにいろんな液体が散らばっている。
これは清掃員向けにチップをはずまなければこちらの気が落ち着かないほど。
「重かったでしょ。起こしてくれればどいたのに」
「いや。暖かかった」
ナニが、ドコがとかは言わないでほしい。
呆れた視線を送り、今度こそゆっくりとローから降りる。
床に足を付け、自分で立とうとすれば力が入らずにカクンと床に崩れ落ちた。
「ぅ、痛い…」
「流石のお前でも立てねぇか」
何処が痛いと言われたら、全身と答えたい。
腰も関節も噛み痕も全部鈍く痛むのだ。
風呂行くぞ、と抱き上げられて外へと繋がる戸を開ける。
少し涼しい朝の空気を深呼吸で堪能すれば、備え付けのシャワーで体を流された。
「内風呂もいいが、折角だからこっちで入るぞ」
「ん。あんまり堪能できてなかったからね、露天風呂」
もくもくと湯気が上る湯に二人で浸かる。
じんわりと肌を刺激する少し高めの温度のお湯が、痛むところを解すかのようだ。