第13章 ハートの海賊団
「クロエ~ッ!し~ま~だ~よ~!」
「…………………うん」
「テンション低ッ!」
食堂で朝食後のコーヒーを頂いていた静かな空間。
それを打ち消すほどの大きく陽気な声。
いつもより大きな足音で入ってきたベポは引き連れたクルー達と声を合わせて島に着いたコールを船中に響かせている。
「寝不足なの」
「そっか。でも島だよ!」
「……島は初めて?どうしてそんなにテンション高いわけ?」
「え?だって島だよ?」
「…………そうだね。島だね」
何をいっても感覚が違うからか、心が純粋だからか、わかり合えない島に対するあのテンション。
半ば放置するように会話を終わらせれば次の場所へとベポ達は去っていった。
本当に島へ着いたことだけを知らせに回っているようだ。
再びコーヒーを味わっていればぞろぞろと殆どのクルーがリビングに入っていくのが見聞色でわかり、首をかしげる。
「そうか、クロエが乗ってから島に着くの初めてだもんな」
キッチンからでてきたコックが椅子に座ったままのクロエを見て一人納得する。
何?と聞けば島へ上陸する前の決め事などをリビングで行うらしい。
行くぞ、とリビングへ促された。
「揃ったな。ベポ」
「アイアイキャプテン」
部屋に入れば見張り以外全員がいて、ローが皆の前に立つ。
呼ばれたベポは用意されていたボードに島の地図を張り付け、横に必要な項目を書く。
「ログは4日程度。初日は物資の調達と船の整備。翌日から出港までは自由行動だ」
「はーい!」
シャチがビシッと手を上げる。それに気づいたローが「はい、シャチ」と鬼哭の先端で差せば起立したシャチ。
ローまでも雰囲気に合わせて指名するから、学校のようだなと最後尾で眺めながら笑う。
「宴会はいつですか!」
「俺の都合で悪いが、明日だ。リサーチ頼むぞ」
「任せてください!」
宴会なんてするのか、と毎晩ふつうの食事でも宴会のような騒ぎなのに、いざ宴会となったらどうなるのだろう。
「あの、えーっと…解禁、て事でいいんすよね?」
ペンギンが手を上げ指名され立ち上がる。
なぜか此方をチラリと見てきたが、なんだろう。
解禁、とは?
「あぁ、問題ない」
「了解っす!楽しみだな!」
にぃっとこちらを見て笑い掛けるペンギン。
なんのことだか、まぁ普通に宴会は楽しいだろうから頷いておいた。