第13章 ハートの海賊団
働いていた彼女は役職が高かっただけに給金もばか高い。
故に彼女の金払いは潔く、休暇で訪れたホテル等の代金は先に到着した方が払っていて、あとから金銭のやり取りなどしたことがない。
最初の頃は女に金を払わすなんて、とクロエが先に支払いを済ませたことに怒りホテル代を渡そうとしたが、逆に「一度出したお金を再び財布に入れられるか!」と男前な発言を頂き喧嘩となったが、それからはどちらがお金を出しても口出さないことがルールとなっていた。
だから無一文の彼女に金を掛けてやることができるこの状況が、柄にもなく楽しみであった。
出来ることなら買い物も一緒にいき、身の回りのものすべて選んでやりたい。
自分の女を自分色に染めたいと思うのは当然だろう。
「なんか楽しそうだね」
浮かれた思考が態度にもでたのか、言われた言葉にクロエの足にクリームを塗っていた手が止まる。
「まぁな…ようやくお前が手元に来たんだ」
まだ塗っていない右足の内腿をつかんで引き寄せ、屈んで顔を寄せた。
「お前は絶対に下船させねぇから覚えておけよ」
かぶっと白く柔らかな肉にかじりつけば息を詰め小さく体が揺れる。
「っ…まだ塗り終わって、ないっ」
「ちゃんと塗ってやるって」
がぶがぶ甘噛みし続けるローを離そうとやんわりと頭を押されるが、それにムッとして深く噛めば肌にうっすらと大きな歯形がつく。
強く噛んでいないからすぐに消える歯形だが、こんな痕が身体中にある。
数が多すぎだと風呂場でイッカクに弄られたばかりだと文句を言うから、さらに数を増やしてやった。
「ローって、噛みクセが…痛ッ……あるよね」
「そうだな…殆どは意識してやったことじゃねェが、お前の体見ればそうなるな」
「たまに、本当に肉を食べられたんじゃないかって位痛いときもあるし…」
「ヤってる最中だとお前のナカ締め付けがすげェからな」
「そんな情報聞きたくなかった…」
さすがに怪我レベルの噛み痕は謝るが、「もうやりません」とは言ったことがない。
「愛しさ余って…」と下手にでて許せと懇願して見せればあっさりと行為を許してしまうのだから、つくづくクロエは甘い。