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【ONE PIECE】人はそれを中毒という

第13章 ハートの海賊団


イッカクと別れ風呂から戻ると、ソファに寝転がりながら本を読むローが視線だけこちらにむけた。

「長かったな」
「女は長風呂、長話が得意だからね」

ベッドにあがり、イッカクから借りたボディクリームを乾燥する肌に丹念に塗っていく。
普段から潮風にも負けないように手入れをしてなめらかな肌をキープしていたが、少しでも手入れを怠ると乾燥しがちなこの肌は途端にへそをまげてガサガサになる。
捕らえられていた時は言うに耐えない有り様だったのが、この船に乗って手入れができるようになり、近頃ようやく落ち着いた。
だからこれをキープするためにもイッカクが持っていたストックを譲り受け、毎日熱心に塗り込む様子をローは呆れたような変な顔で毎度眺めていた。

「俺が塗ってやろうか」
「遠慮しておく」
「なんでだ」
「中途半端に塗ったまま違うことし始めるから」
「中途半端じゃなきゃいいのか」
「いいよ」
「いいのかよ」

本を片付けたローはクロエと同じくベッドにあがり、転がっていたボディクリームのボトルを手に取る。
中身を掌に出してのばし、まだ手を付けていない背中に塗り始めた。

「前の匂いの方がいい」

ふわりと香る匂いは当然だかイッカクのものと同じ。
以前のクロエとは違う匂いが彼女からすることにここ最近は違和感があった。

「島に付いたらお前のもの揃えなきゃならねェな」
「宝払いで良ければお金貸し付けてくれる?身一つで逃げてきてるから一文無しなんだよね」

今頃全財産没収されてるのかなーと笑いながら腕にクリームを塗るクロエの体をくるりと回転させて向き合う。
急なことにきょとんとこちらを見るクロエに、貸さねェと噛みつくようにキスをした。

「お前のものくらい俺が揃えてやる」
「わぉ、男前~」

ごちです、とふざけながらローの側にあるボトルを取りクリームを出す。
まだ塗ってない足に掌を這わせれば、上から一回り大きな手が重なり、クリームを全て奪っていった。

「冗談じゃなく、今後は全て任せろ」
「…タダでやってもらうとか性に合わない」
「単純な衣食住に関してはクルーと同様。だが俺の女の事となれば話は別だ」
「境界線あいまい…」
「あぁ。俺の気分次第だ」

それだけじゃない。
同居してた時からの世話になった恩を返す時だ。

無一文?むしろ好都合だ。

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