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【ONE PIECE】人はそれを中毒という

第13章 ハートの海賊団


ガヤガヤと賑わう食堂での見慣れた朝。
端の方に座って朝食のおかわりを取りに行くベポを眺めながらコーヒーをちびちび飲んでいるクロエ。
そのクロエの顔は悩んでいるのか疲れているのか寝不足なのかはたまた全部なのか、いつもの余裕さは見られず曇った表情。

ずいぶんと体調もよくなり皆と一緒に掃除や洗濯をしている姿をここ数日見かけていて、動けるようになったことから彼女の表情は明るかったのだ。それが一変。どうしたのだろうか。

そしてクルーは表情以外にもおかしいところを見つけた。
なにかとキャプテンと一緒にいることが多いクロエが、昨日あたりから一緒にいない。
同室で寝起きしているから全くの接点が無いわけでもないし、その少ないすれ違う際でも喧嘩しているような険悪さはなく普通通り。
だからなんとなくの感覚で「一緒にいないな」と思っただけなのだが、それが何度もあり、何人も同じように考えていたならばそれは「おかしいところ」になるだろう。

「あ、おはようキャプテン!」

ベポの嬉しそうな大きな声が食堂に響き、次々と挨拶を交わすクルーと共にいるローを見つめるクロエ。

斜め向かいに座るシャチは、そのローを追うゆらゆらとした瞳が、時折細められ、そしてはっとしたように少し見開くとぎゅーっと強く瞼を閉じているのを見ていた。

(こんなに凝視してんのに反応を返さないなんて、クロエらしくねぇというか…なに考えてんだ、コイツ)

頬杖付いて眺めていてもクロエはシャチに気を配る余裕がないのか自分で手一杯のよう。
頭を振るような動作も加わってますます珍妙な行動に気味が悪くなったシャチは、近くのイッカクを引っ張った。

「なぁ、あれどうなってんのか知ってるか?」
「え?」

箸を持ったまま首をかしげるイッカクに、クロエを指差す。
今は他のクルーの話に交ざって離れたところにいるローを見つめているが、その頬が熱があるかのようにうっすらと赤い。

「風邪でも引いたのかな?」

病み上がりだしね、と言うイッカクにガクッと気が抜ける。
そういうことじゃないだろ、と言いたくなったがやめた。
イッカクは事戦闘となれば周囲に敏感になり些細なものも見逃さない洞察力を持つくせに普段はドが付くほどのニブチンちゃん。
聞く人を間違えたとイッカクを食事の続きに促した。



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