第13章 ハートの海賊団
「…ありがとう」
ローの首に顔を埋めて思いきり抱きつく。
目の前の男が愛しくてたまらない。
ぐりぐりと頭をすり寄せ「大好き」と言えば力強く抱き締め返してくれる。
もう恥ずかしいだとかそんなことは頭から消え、全身で感じるローの暖かさに体から力が抜けた。
「まぁ筋肉はなくなったが、必要な部分はちゃんと残ってるから、今はそれでいいだろ」
寄せ上げるようにむにむにと掴まれる胸。
やらしいその手つきに感動に浸ってた気持ちが冷めていく。
「…ヤらないんでしょ」
「ヤらねェよ」
「じゃぁ離してよ」
「交換条件だろ」
そうだった。
忘れかけてたそれに抵抗してた腕を離した。
「ローの言う条件って、セックスはせずに裸で抱き合いたいだけ?5日間も…」
「いや、最初の4日だけだ」
「なにそれ」
どんな嗜好だと言いそうになった時、記憶のどっかにそんな触れ合いがあったような気がして黙る。
色んな地域の風習などが載った本で…。
「ポリネシアンセックス」
「あぁ、それだ」
サウスブルー寄りの地域の風習として読んだことがある。
5日かけて行うもので、精神的な繋がりを重視した行為だったはず。
「だいたい5日後に島に上陸するらしいからな」
ホテルに籠れば人目をきにせず満喫できるな、と片方の口端を上げるロー。
「お前がこの船にきたらやろうと思ってたんだ。時間がかかるから普段じゃやれねぇし」
「そーだね…」
すりすりと体を撫で回す手にじわりと体が熱くなる。
決して性的な意味ではなく、これから自分の身に起こるであろう数々の事に対して焦りと逃げ出したい気持ちからだ。
ダイレクトに感じる部分には決して触れず、周囲をやわやわと撫でられながら、話は終わりだと唇に噛みつかれた。
「まって…」
「待たねぇ」
遮るように薄く開いた口内に舌をねじ込まれる。
耳を撫でられながら肉厚な舌が丹念に口内を舐め回し、逃げ惑うクロエの舌を引っ張り出す。
未だにノッてこないで弱い抵抗を続けるクロエの舌を強弱をつけて吸い上げれば、ひくりと喉が震えた。
「ふっ、ぅ…」
「…甘ェ」
ぺろりと溢れる唾液を舐め取ったローは、荒く呼吸を繰り返すクロエの喉に唇を這わせた。