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【ONE PIECE】人はそれを中毒という

第13章 ハートの海賊団


提示された交換条件として、私は素っ裸でベッドにいた。
同じく隣で布団に入っている男も裸。

「なに怖い顔してんだ」

先ほどセックスするのかと聞けばしないと答えたロー。
じゃあ何故裸なのか再度問うが、こうしたいから、としか答えないローに眉を寄せてその真意を図ろうと顔を凝視していたのだ。

布団のなかで抱き締められながら、緊張のような照れのような気持ちが頭を回る。
こうして裸で向き合うのは久しぶりで、ローは幾分ガタイが良くなった感じがする(相変わらず細身なのは変わらないけど…)。

だけれど私はその逆で、全く筋肉のなくなった痩せた体。
こんな事になったのも、予測も出来ずにあっさりと捕まり、体を酷使するほか抵抗する術もなく、それでも耐えきれずに敵の手に堕ちそうになったからだ。
もっと先を見通す知能があれば、もっと体が丈夫なら、もっと強さがあったら…。

途端に今の体を見られるのが恥ずかしくなり、体を隠すように丸めた。
診察で散々見られているが、別の目で見られればそれは話が違ってきて、不甲斐なさを表したこの体を見られるのはかなり恥ずかしかった。

「なにしてんだ」
「…、暫く見ないで」
「は?」
「なんか、恥ずかしくなった…」

貧相な体…と呟けば両手で頬を包まれ、ローと目を合わせられる。
視線をずらし横を向こうとしても思いの外がっちりと掴まれていて、目玉を動かせただけだった。

「お前が以前の体をキープする為に努力してたのは知ってる。バカみたいな量を食べるのも、筋肉を維持するために必要だったんだろうし、体を鍛えるのに常人よりも運動量が多いから必然だったんだ」
「ん…まぁ…」
「そんなお前も強くしなやかで良かったが、今のお前だって色んなモノを精一杯守った証だろ。恥ずかしがる要素はどこにもねぇよ」

守った?
何を、と考えれば、答えを見つける前にローが"俺らの事"と教えてくれる。

「喋れないことは沢山あるだろうが、その中に俺らの情報もあんだろ?自白剤を打たれて尚、喋らなかったその精神力は大したもんだ」

実際はガイアの力なしには出来なかったことだが、それすらもクロエの力だと言う。

「だから恥に思う必要なんてねェし、どんな姿だって"クロエ"には変わりねぇんだ。それだけで俺には十分価値がある」

じわりと目尻が熱くなった。

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