• テキストサイズ

【ONE PIECE】人はそれを中毒という

第12章 青紫の眼と新たな仲間


基本的に食事は皆一緒に取るらしく、食事時間が決まっている。意外にもローが決めたことらしい。率先して決まりごとを破る男の提案とは驚いた。

「習慣、変わらないね」
「…うるせぇ」

一緒に住んでいた時からの習慣。
どんなに忙しくてもご飯は一緒に食べること。

今まで一人で食事を取ることが多かったクロエ。
その寂しさを感じていた経験から、彼らにも一人で食べてほしくなく、そんなルールを作った。
それはローだけではなく、クロエの家に入り浸っていたシャチ達全員にも守らせた。

だからよく仕事で遅くなったクロエを、腹ペコの男どもがご飯の前でただひたすら待っていたことは、今でも笑える思い出のひとつだ。



ローに横からお造りを取られながらもご飯を平らげたクロエは、今度はイッカクに付き添われながら甲板へとでた。
以前案内されたときは普通に歩けたし、体力があった為に苦労など微塵も感じなかったが、体力のない今、思いの外階段で苦労した。
休憩を挟みつつ出た久々の外は、回復を祝うかのような晴天。

「気持ちいい風…」

壁に寄りかかって空を見上げれば、秋島の春に当たる気候なのか暑すぎないポカポカとした気候に少しばかり涼しい風が時折吹く。
どこからか持ってきたパラソルとデッキチェアにイッカクと寝そべれば、心地よい眠気に襲われる。

「数時間前に起きたばっかりなのに、もう眠くなってきた…」
「診察室から食堂に来て、更にここまで歩いたからね」

食っちゃ寝の生活では、必要のないところに肉が蓄積されそうだ。
そう呟けば、今のクロエは全身に肉つけなきゃベポに抱き付かれただけでも骨折れるよとイッカクに脅される。
ミンク族のベポは熊故にとてつもなく力が強い。
そんな怪力に抱き締められたら骨が折れると同時に昇天間違いないだろう。
以前無茶したペンギンを心配したベポが感極まって抱き付いてペンギンを絞め落とした話を聞き笑い合う。
そうなりたくなきゃたくさん食べて休みなよとイッカクに言われれば頷くしかなかった。

暫く他愛のない話をしつつ空を見上げていた二人は、次第に口数が少なくなる。
気付けば揃って心地よさそうに寝息をたてているのを様子を見に来たシャチが発見した。

「まったく、お前まで寝てどうする」

手の掛かる女二人をベッドへ運ぶためにローを呼びに踵を返した。

/ 262ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp