第12章 青紫の眼と新たな仲間
あれよあれよと中央の席に着かされ、まだ船に乗ってから挨拶したことのないクルーと言葉を交わしていれば目の前にトレーが置かれた。
「快気"前"祝いだ!」
シャチがどん、と指し示したのはそこそこ大きめの焼き魚が頭付きのお造りのように曲げられて盛られている。
今朝釣ったと言う魚だろう。
手先の器用なシャチ。こんな疑似お造りまで作ってしまうのか。
「昨日キャプテンが誰か付き添うなら船内を移動してもいいっていってたから、あとで改めて潜水艦ツアーしてあげるからね!」
ここ数日身の回りの世話でお世話になってたイッカク。
だいぶ打ち解けてきた彼女と船内の話をしていれば、ペンギンとローが食堂へと入ってきた。
「お、食堂まで来れたんだな!」
「おはよう、ペンギン、ロー」
「後で車椅子持っていこうかと思ったんだが、必要なかったな」
「まぁなんとか…しんどかったけどね」
「リハビリはそんなもんだ」
その調子で頑張れと言い残してペンギンはご飯を貰いに厨房が見えるカウンターへと向かった。
「すごいな」
隣に腰かけたローは、シャチ特製のお造りを見る。
なかなかの力作にすごいよねと返す。
ペンギンがローの分の朝食も持ってきて全員が席に着いたタイミングで、自然と皆が「いただきます」と揃い、食べ始めた。
「ふふっ仲良いねぇ。いつも揃ってから食べるの?」
「だいたいはな…」
「キャプテンだけっすよ、朝起きてこなかったりするの。他のクルーはいつも揃ってる」
頻繁に夜更かしするローは度々活動時間がクルーとずれるらしく、朝食はロー抜きの事が多いらしい。
調理担当するクルーから苦情のような言葉をチクチク言われるローは苦い顔をしながらお茶漬けをすすっていた。