第12章 青紫の眼と新たな仲間
ふっと意識が浮上する。
ふかふかな布団に包まれていて、どこで寝ているんだろうと暫し考える。
たしかイッカクと甲板で話していた筈。
「起きたか」
天井しかなかった視界にローが現れる。
少し驚き体がピクリと揺れた。
「昼間とはいえ秋島の気候だ。長く外に居たら冷えるだろうが」
シャチが見つけてローを呼び、この部屋まで運ばれてきたようだ。
「まぁ付き添ってた筈のイッカクもぐーすか寝てたから、責任はあいつにあるな」
そのイッカクはシャチが運んでいったようだ。
起こさずに寝かせておいてあげるとは優しい。
そんなに怒らないでよ、と言えば小言は言ったが怒ってはいねぇ、と。
体を起こして辺りを見渡せば暗かった部屋に電気がつけられ、見つけた窓の外を見れは真っ暗。
もしかしなくても半日眠っていたのだろうか。
「…もう夜なの?」
「あぁ」
お昼食べ損ねたと気を落とす。
この船のコックのご飯はとても美味しい。和食好きなローが乗る船らしく、味は繊細でお出汁が効いていて風味がとても良いのだ。
クロエの軍艦のコック達も海軍の中では有名になるほど腕に自身のある人達だったが、一度に何百人もの食事を賄うために多少大雑把なのはしょうがない。
1食でも抜けてしまったのは残念でならい。お昼はふわふわ卵のオムライスと聞いていたのだ。ショックは計り知れない。
「なんで昼飯ごときでそこまで気落ちするんだよ」
ベッドの縁に腰かけているクロエに、サイドテーブルを寄せローは皿を置いた。
「…っ!!ロー大好き!!」
「…そうかよ」
キラキラと黄色に輝く卵に、たっぷりと注がれたデミグラスソース。
目の前に出されたそれにぱちりと手を合わせて、早速頂いた。
「食いながらで良いから聞け」
頬張ったものを咀嚼しながら頷く。
見せたのはひとつの島の地図。今現在向かっている島と聞いている。
「あと数日で着く。お前も買い出しに行くぞ」
「ん?私、出れるの!?」
「まぁここ数日の様子見てたら、体力落ちてる以外には問題なさそうだからな。俺がついてりゃ問題ねぇ」
「それは嬉しい知らせ」
ぺろりと平らげたオムライス。
最後のデミグラスソースを口に入れるとスプーンを置き、最初同様ぱちりと手を合わせた。
それを見てローは改めてクロエに向き直った。