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【ONE PIECE】人はそれを中毒という

第12章 青紫の眼と新たな仲間


「クロエ、ちょっといいか」

数日経ったある日の夜。
ローの部屋のソファで借りた本を大人しく読んでいれば、ローが隣に座る。
本を閉じて視線を向ければ、目の前に見覚えのあるものが差し出された。

「あれ、私と番の電伝虫じゃん」

クロエは軍艦の自室に置いてきてしまっているから、おそらく没収されているだろう。
なぜに今それを差し出されたのかわからず、困った顔でローを見やれば手のひらの上にそれを落とされた。

「お前のは今、副官だった男が持っている」
「…ジル?」
「あぁ。俺たちが護送されているお前に追い付けたのも、そいつが連絡を寄越したお陰だ」
「えっ!?」

目を丸くして電伝虫を見る。
どうして航路や船を特定できたのだろうと不思議に思ってはいたが、まさかジルが手を貸してくれていたとは。

「お前を救出した後に一度連絡をして、無事なのは伝えてある」
「そう…ありがとう」

ローから連絡を取り合った経緯を聞く。
よく、あの状況下でクロエの為に動いてくれたものだ。
彼が機転を利かせて荷物を取りに行ってくれなかったら、または上司が隠し持っていた電伝虫の相手に助けを求めなければ、今クロエはここには居られなかった。
大きな恩ができてしまった。

「言っておくが、相手は助けを求めたのが誰だかは知らねェ筈だ」
「そうなの?」

名乗ってねェ、とあっけらかんと言うローに苦笑しつつ、それでも信じて情報を渡したジルを意外に思った。
切羽詰まった状況とはいえ、あの用心深いジルを信用しようと思わせたローを、素直に凄いなと思った。

「それで連絡したいならしろ」
「…いいの?」
「構わねェから渡したんだ。この船に乗っている事とか話したいなら話せ。お前の判断に任せる」

クロエがハートの船に乗っていると海軍にバレても問題ないと言うローは、ソファから立ち上がる。

「ありがとう…」

言わないが、気を遣って席を外してくれるロー。
終わったら呼べ、と内専用の小電伝虫をサイドテーブルに置くと、部屋を出ていった。

自分は二人の人間に救われたのかと電伝虫を見つめ、相手へと通話をつなげた。


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