第12章 青紫の眼と新たな仲間
それから景色は目まぐるしく動いた。
過去何百年とガイアに蓄積された記憶と感情がクロエに統合されようとしているのだ。
気持ち悪くなる情報量に現実世界じゃなくて良かったと痛む頭で思う。
きっと吐いていた。
《私からは記憶と感情しか与えられん》
力の使い方はポーネグリフに眠っているらしく、ガイアとて簡単なものしか使えないという。
《あれはお前と私が揃って、初めて発動する》
後世に必ず残るものとしてポーネグリフにトリガーが刻まれたが、レアなもの故に過去の私がなかなか触れる機会もなく今に至るようだ。
《最初にも言ったが、私はこの世が憎い。憎みながら死んだお前から生まれたのだからな》
だから早くポーネグリフを探しだせ。
力を取り戻し、世界政府が支配するこの世を共に壊そう。
《ほんの少しだがそのための力をやろう》
近づいてきたガイアはクロエの首に触れる。
カッと熱くなったそこに手をやれば、ガイアは印を刻んだのだ、と言った。
《あの男によろしくな》
白い世界が薄暗く、そして暗闇へと変わっていく。
目覚めの時がきたのだ。
《一つ、言い忘れた。お前の心が危ない時、私がその体を使えるようになった》
にぃっと初対面で見た醜悪な笑顔を向けられる。
《精々取って代わられないように気を付けろ。主導権を握られるだけでなく、私は永久の命を得た体も狙っているからな》
その意味はわかるな?と耳元で聞こえたのを最後に意識が途切れた。