第12章 青紫の眼と新たな仲間
女からは見えない位置にいるスナイパーの狙う先は女。
男もまた女と同様、自分の命よりも彼女が生きる道を選んだ。
迸る光に目を瞑る。
技が発動され、女に満ちる生命力とは反対に、男の命の灯火が弱くなる。
女も悟ったのだろう、この技が男の命と引き換えなのを。
激昂する女に、彼女の力が暴走し始める。
騙した組織が憎い
騙された自分が憎い
黙っていた男が憎い
それでも男が愛しい
男のいない世界で、
二度と会えない男を想って
永く生きたくはない
消える男を追う彼女の魂。
憎いこの世を破壊しようとする力。
反する力が彼女のなかで解離し始める。
《あれが、私の誕生だ》
男の魂を追う女の魂。
そして、永久の命は彼女の、力に宿る。
《ガイア、だ》
青紫の光で彼女の写し身を現すガイア。
それを捕らえようと船から男達が出るが、彼女が手を上げるだけで海がうねり、嵐を呼んだ。
《一度組織は滅んだのだが、残党で再結成されたようだ。そうでなければ今の世界政府や海軍は存在しておらん》
未曾有の大災害が目の前に広がる。
正直、言葉で伝えられるレベルじゃない。
島一個が簡単に海に沈んだ。
すでに生きるものがいなくなった島で良かったのかもしれない。
それらを唖然と眺めていれば、景色は真っ白な空間に変わった。
《本来ならばあの女の生まれ変わりとなる類似した存在に力が宿るのだがな。術を掛けられたせいで、この力 - ガイア - は、お前の魂にしか宿れない》
前世の記憶があるのは私が宿るからだ、と目の前のガイアはいう。
《なんの因果か久しく記憶を戻したと思えば、側にいる男がオペオペの実の能力者とはな》
今度こそ、その身も永久の命を得るか?と冗談交じりに言うガイアを睨んだ。