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【ONE PIECE】人はそれを中毒という

第12章 青紫の眼と新たな仲間


なにもない空間を漂っていた。
目を開けているのか閉じているのかわからない。
時間の感覚もないが、気が遠くなり掛けた頃に目の前が鈍く光った。

《久々に会えたのぉ》

いつかの自分だ。
青紫の瞳を光らせた目の前の自分は、前回とは違いやや落ち着いた様子でこちらを見ている。
ここはどこだろうと見渡してみても他にはなにも目に写らない。

《少し目覚めるまで時間があるからな。知識を分けてやろう。私が誕生した、その経緯をな…》

その言葉に反応した周囲が突然色を持つ。
眼下に広がる海と真上から照りつける日差し。
そして浜辺に倒れる男を、女が介抱していた。

《あの女はお前であり、私でもある。出会いは漂流して流れ着いたあの男を助けたことだ》

場面が移り、部屋の中。
先ほどの男女が仲睦まじく寄り添っている。

《あの男との関わりが、この輪廻の始まりだ…》

買い物、二人での料理、村人達との交流。
誰もが二人の仲を祝福し、祝っている。

また場面が変わり、港に船がある。
男がその船の乗組員と包容をかわす。仲間なのだろう。
無事を祝うようなそれに、離れた浜辺で静かに女が見ていた。

《この船はな、のちの世界政府となる組織のものだ。あの男はその一員。唯一惚れた男が見つかってはならない組織の男とは運の無いことよ…》

船から出てきた男達に女が捕らわれる。
その女が組織が探していた力を持つことを知ったのだ。
村から助けに出てきた人々は、辺鄙な村の人とは思えないほどの戦闘力を持っていたが、それでも世界的に巨大な組織には勝てなかった。

《この村はあの女を守るためにある。当然、村人全員がガーディアンだ》

地に伏す村人。声を枯らしながら泣き、叫び続ける女。
組織はそんな彼女の前に、彼女が助けた男を立たせた。

「選べ。不老不死の命を得て我らの仲間となるか、村人同様この男も死に、捕らわれ自由を失うか…」

組織の人の声が聞こえる。
唇を噛みしめる女は静かに頷く。
一族の教えより、男への愛を選んだ。

不老不死、と聞けば必然とローの顔が浮かぶ。

《お前の考えている通り、オペオペの実だよ》

術者の命と引き換えに施せるオペオペの実の究極の力。
まさか、と思い男達を見れば術者、すなわちオペオペの実の能力者は彼女が助けた男だった。


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