第12章 青紫の眼と新たな仲間
ロー達の潜水艦であるポーラータング号は、護送船のすぐ近くに来ていた。
海中から遠目に目視できる位置まで来ると、ベポはローを呼びに走った。
「キャプテン!着いたよ!」
既に鬼哭を担いで窓の外の暗い海を眺めていたローは、振り返りあいつらを集めろと指示した。
この救出は幼馴染み組でやると決まっていた。
敵船に察知されない位置に船を近付ければ、ローの能力で船に移る。
少人数で侵入し、クロエを回収したらすぐに戻ってきてこの場を離脱する。
早さが求められるので、大人数での潜入は向いていない。
「準備出来ましたよ」
シャチ、ペンギンが戦闘準備を整えてリビングにいた。
その姿はいつものツナギではなく、身軽な私服。
ハートを隠して今回は挑むのだ。
「しかし…お前らも私服にハート入ってるのか…」
「これを誇りに思うのはキャプテンだけじゃないッス」
シャチの背中をみればでかくはないものの、シャツの裾にハートのシンボル。
ペンギンは愛用の帽子もそのまま、ズボンにしっかりと同様のマークがあった。
そしてぼやくローも、トレードマークの帽子に、黒を基調としたシンプルな服だがハートマークはあった。
「さっさと助けて、あの女にも同じマーク刻んでやるぞ」
「「アイアイキャプテン!!」」
航海士として船に残るベポが合図を送る。
いってらっしゃい!と仲間に見送られローはルームを広げ、一瞬にして三人の姿はポーラータング号から消えた。
見聞色で探り、飛んだ先は船の奥にある倉庫。
静まり返ったそこに着地した3人は視線だけで意志疎通をすると、ドアをあけバラバラに散って探索に出る。
ローは懐の無線となる簡易電伝虫を確認すると、下に降りる階段を探しに歩きだした。
上はシャチ、このフロアがペンギン。そしてローは地下の探索を担当する。
途中見かける海兵を背後から襲い姿を見られないうちに意識を落とし、適当な部屋に放り込んでいく。
そうして暫く歩けば目当ての階段を見つけ下に降りた。
「――――、」
「――~」
複数の会話が聞こえ、物陰に身を隠す。
気配を限りなく消してじっとしていれば、二人の海兵が側を通った。