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【ONE PIECE】人はそれを中毒という

第12章 青紫の眼と新たな仲間


「吐いたか」
「いえ。なかなか薬が効かないようでして…一切口を開かずこちらの尋問に屈しません」
「流石海軍本部の中将だ、と言いたいが…面倒だな」

薬を増やそうにも加減を間違えれば死んでしまう。
ただでさえギリギリを攻めて与えているというのにどうしてか口を割らすことができないでいるこの状況にベイヤードは溜め息をついた。
これではあと数日したら合流するあの鳩を連れた男に嫌みな笑みを向けられてしまう。

それでも与えられるだけの精神的負荷や投薬は行った。
とうにボロボロの筈のクロエの体。
それでも精神力が物を言うのかなかなか屈しないクロエに、正直ベイヤードは感心していた。
だてに女ならがに中将まで上り詰めたやつではない。

(だがそれもあと数日。サイファーポールはその手の事はお手のものだからな…)

世界政府にとって海軍が表の機関ならば、サイファーポールは裏の機関。
海軍がやらないようなことも平気で行うやつらだ。
ベイヤードからしたら若すぎる女に少し同情した。






すこぶる調子が悪い。
いつもとは違う体の様子から、薬が変わったのかとボンヤリする頭で思う。

すでに日にちも時間の感覚すら曖昧になり、ただ起きて尋問と称する暴力や、効果が切れ掛ければ次の投薬を経て意識を失う。そんな事を繰り返していた。
この時点ですでに自白剤を吐き出すなどの動作も取れずにしっかりと飲み込んでいたが、彼女がなにかを話すことはなかった。

(私の不利になることはさせまいよ…)

誰も知らないクロエの内の奥底で呟かれる言葉。
それに答えるかのように彼女が持つ情報はプロテクトされ、それ故に自白剤を打たれようと喋れる内容は何もない。
そうして不本意な相手だとしても守られたクロエだった。



今日も懲りずに海兵達は尋問のためクロエの牢を訪れる。
クロエも知る海軍の尋問。
それならばなけなしの精神で耐えるが、やっかいなのはいたぶることに快感を覚えたやつら。
体に触れてくる手が威嚇してもしつこくなってきたのだ。

(あぁ気持ち悪い…)

歯が欠ける程奥歯を噛みしめ、丸まるように身を守る。
服を捲られ肌をさらけ出されようが、最後の一線が守れるのならばこんなことは安いもの。
最後、油断した瞬間にこそ強烈な一撃を食らわせてやる、と目の前の男達を睨み上げた。
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