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【ONE PIECE】人はそれを中毒という

第11章 露呈


ベルヤードに追い払われた日の夜中、ジルは一人で軍艦にあるクロエの私室にいた。
ほぼ海で生活をする自分達は陸に家があれど、実質的にここが家と呼べる場所だった。

預かっていたスペアキーで入ったクロエの部屋はきれいに整頓されている。
まだ調査の手が入っていないそこから、クロエが大事にしていたものを記憶の限り思い出しながら手に取りバッグの中に詰めていく。
押収され無くなってしまわないようにと考えた故の行動だった。

財布など代わりがあるものはそのままに、唯一無二のものを探す。
そしてよく着ていた愛用の上着のポケットを探っていれば、一匹の小電伝虫が出てきた。
長いこと行動を共にしているがこれを見たのは一回だけ。
緊急の用件で彼女の執務室に飛び込んだときに手にしていたのだ。

(確か…大事な人と繋がるもの、って言ってたかな)

プライベートを一切見せなかったクロエがかチラリと見せた大切な人の存在。

今だ眠ったままの電伝虫もバッグに詰め込むと、もう一度主の失った部屋を見渡し、静かに扉を閉めた。











目が覚めれば簡易マットに寝かされていた。
相変わらず底冷えする地下牢だがマットとブランケットがあるだけ少しマシになった。

腕を見れば針のあとがあり、点滴なりされたのだろう。血の滲んだテープを剥がした。

どれくらい眠っていたかは不明だが今が深夜だとはわかった。
見聞色で探らずとも要塞は結構音が響くため日中ならばそこら中から音が響いている。
シンと静まった今、自分の置かれている状況を整理してみる。

"ポーネグリフの研究"という名目で拘束されてはや数日。ずっとこのままとはいかないだろうから、本部なり世界政府に連行されるだろう。
その際は船での移動がかならずある。そこが逃げるチャンスか…。
だが勝手知ったる海軍の護送だ。脱走を警戒して政府側の人間も連れてくるかもしれない。最悪なのはロブ・ルッチが派遣されてきた場合。
あいつの目を掻い潜って逃げられるとは到底思えない。

正直なところどこまで正体がばれているのかもわからない。可能性だけの曖昧な情報なのか、確信をもって私を捕らえているのか。
後者ならば今まで捕らえずにいたのもおかしいから、私が"そういう存在であるかも"と最近知ったところか。
やはり下手なことは喋れない。



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